「静かに『政治』の話を続けよう」岡田憲治

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専修大学教授である岡田憲治氏による「政治学入門」的な本である。「政治の言葉」がいかに乱れ、混乱したまま使われているか?岡田氏は危惧している。ネットやマスメディア、言論界などで飛び交う「政治の言葉」をあらためて整理し、
「公共の場でものを言うマナーやルールを確認すること」と「言葉そのもののすり合わせ作業をある程度しておくこと」が重要だと指摘する。

ヒステリックな罵詈雑言で非生産的な言説を繰り返しても何も生まれない。違う立場の意見をすり合わせるために語り続けること。言葉をすりあわせること。「バッシングと丸投げ」で自分を棚上げせずに、自分の言葉で考え続けること、語り合うことの必要性を本書は説いている。

たとえば、「日米関係が持たない」とはなんなのか?「民主」主義と民主制とは?「みんな」で決める「みんなの範囲」とは?資本主義と政府の介入と責任について、靖国参拝問題、国家とは?カントリー、ステイション、ネイションの違いなどなど。たとえば、「国」と「公」についてこんな風に語られる。

私たちのまわりには、ステイトやネイションには直接貢献せずとも、生活世界としての地域や街で、まさに自己利益を超越して公に尽くす人々がたくさんいます。もし「公」というものを「国家」(ネイション)に尽くす者というふうに吸収させてしまうと、これを「国」以外の言葉として分節化する意味がなくなってしまいます。~中略~。
国という言葉を大雑把に使うべきでない、内容をきちんと切り分けられるように使わなければならないと言ってきた最大に理由は、「自己を超えたもの」に想定なしには、私たちは自己の幸福すらえられないからであり、かつ本当に私たちの生に寄与する共同性とは何かを考えるための、共通の出発点をつくりたいからです。自分単体で世界を生き抜けると信じる人間のことを私たちは「子供」と呼びます。私たちは結婚せずとも、子供を持たずとも生活は出来ますが、共同的なるものなしには生きていくことはできません。それほど大切なものを考えるには「クニ」という言葉だけでは、あまりにも品揃えが悪いのです。クニを大人として丁寧に、そして静かに語るために私たちにはたくさんの言葉が必要なのです。


さらに日本で出鱈目に使われている「リベラル」という言葉、アメリカでネガティブに使われている「リベラル」について。または、憲法とは、政府に手枷足枷をはめるためのものであり、道徳心や「国家像」を書き込むものではないこと。誤解されている「バラマキ」と「富の再配分」について、「サヨク」とは?「サヨクの自虐史観」について、「民意」の都合の良い解釈についてなど、よく聞かれる言説や言葉について、丁寧にその本来の意味と誤解を解き明かしている。

面白かったのは、「リーダーシップ」について。日本で語られる「リーダーシップ」とは、いつも織田信長や豊臣秀吉などの戦国武将が引き合いに出され、「危機を乗り切るリーダーシップ」とか「部下に慕われるリーダーシップ」などについて語られる。財政危機を乗り越える「グイグイ引っ張っていく能力」や「カリスマ性」ばかりが強調される。しかし、リーダーシップが機能するためには、「フォロワーシップ」という考え方がセットになければならないという。リーダーはリーダー単体では成立しない。リーダーを支え、フォローし、主体的にコントロールするフォロワーの存在が不可欠なのだ。リーダーとフォローワーとは主従関係ではなく、対等な関係だという。そんなフォロワーの不在こそが、政府や官僚に「おまかせ的丸投げ」する日本的な思考の弱さがあり、自分を棚上げしての「バッシング」ばかりが横行するのだ。日本にリーダーが育たないのは、同時にリーダーを支えるフォロワーが育っていないとも言える。それこそ市民的成熟であり、コミュニティへの参加や、政治への静かな議論がまだまだ足りないのだろう。
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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映画ベスト10 2009~2016年
2016年ベスト10
<洋画>
    ダゲレオタイプの女
    マイ・ファニー・レディ
    キャロル
    シング・ストリート 未来へのうた
    リザとキツネと恋する死者たち
    グッバイ・サマー
    サウルの息子
    マジカル・ガール
    ブリッジ・オブ・スパイ
    手紙は憶えている
<日本映画>
    淵に立つ
    クリーピー 偽りの隣人
    海よりもまだ深く
    ふきげんな過去
    SCOOP!
    永い言い訳
    オーバー・フェンス
    ディストラクション・ベイビーズ
    葛城事件
    湯を沸かすほどに熱い愛
    次点この世界の片隅に


2015年ベスト10
<洋画>
    やさしい女
    さよなら人類
    さらば、愛の言葉よ
    毛皮にヴィーナス
    雪の轍
    愛して飲んで歌って
    サンドラの週末
    サイの季節
    インヒアレント・ヴァイス
    ソニはご機嫌ななめ

<日本映画>
    海街dairy
    岸辺の旅
    FOUJITA
    百円の恋
    この国の空


2014年ベスト10
<洋画>
    エレニの帰郷
    グランド・ブタペスト・ホテル
    罪の手ざわり
    ウルフ・オブ・ウォールストリート
    ジャージー・ボーイズ
    インサイド・ルーウィン・デイヴィス
    6才のボクが、大人になるまで。
    フランシス・ハ
    ウォールフラワー
    ある過去の行方

    <日本映画>
    そこのみにて光輝く
    ニシノユキヒコの恋と冒険
    紙の月
    Sventh Code
    私の男


      2013年映画ベスト5
<洋画>
    1、「愛、アムール」
    2、「ホーリー・モーターズ」
    3、「オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ」
    4、「いとしきエブリデイ」
    5、「ムーンライズ・キングダム」
    ※番外「カリフォルニア・ドールズ」(1981年)

    <日本映画>
    1、「共喰い」
    2、「さよなら渓谷」
    3、「恋の渦」
    4、「リアル 完全なる首長竜の日」
    5、「Playback」(2012年)


    2012年映画ベスト10
<洋画>
    2、「少年と自転車」
    3、「Pina ピナ・バウシュ 躍り続けるいのち」
    4、「ライク・サムワン・イン・ラブ」
    5、「きっと ここが帰る場所」
    6、「ドライヴ」
    7、「風にそよぐ草」
    8、「恋のロンドン狂騒曲」
    9、「おとなのけんか」
    10、「別離」
    次点 「裏切りのサーカス」
番外
    「永遠の僕たち」
    「J・エドガー」
    「家族の庭」

    3、「演劇1&2」
    4、「夢売るふたり」
    5、「アウトレイジビヨンド」
    番外 「ヒミズ」


2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
    7、クレイジー・ハート
    8、ずっとあなたを愛してる
    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
    4、さんかく
    5、ノルウェイの森
    次点、乱暴と待機


2009年映画ベスト10
    3、リミッツ・オブ・コントロール
    4、あの日、欲望の大地で
    5、人生に乾杯!
    6、ウェディング・ベルを鳴らせ!
    7、チェンジリング
    8、ロルナの祈り
    9、レスラー
    10、夏時間の庭

<日本映画>
    1、ディア・ドクター
    2、空気人形
    3、ウルトラミラクルラブストーリー
    4、インスタント沼
    5、ノン子36歳(家事手伝い)
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