「ジヴェルニーの食卓」原田マハ (集英社文庫)

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原田マハは美術小説がやはり面白い。アンリ・ルソーの未公開絵画と古書を巡るミステリーとして見事な構成力と想像力で楽しませてくれた『楽園のカンヴァス』に続いて、こちらは印象派の画家たち、マティス、ドガ、セザンヌ、モネたちの物語。それぞれの画家たちの身近にいた一人の女性の視点で描かれるのだ。この小説を読むと、彼らの絵をもう一度じっくり見たくなる。当時の美術史を踏まえながら、小説的フィクションで想像力の翼を広げ、印象派の巨匠たちの姿が生き生きとリアルに活写される。印象派の巨匠たちの姿が、より身近に親しみをもって感じられるようになるのだ。

最初の「うつくしい墓」は晩年南仏のニースで暮らしていたマティスの物語。私は数年前、ニースのマティス美術館を訪れたことがあるので、とても興味深かった。同時代のピカソとの交流も描かれるが、ニースで暮らした晩年のマティスが目に浮かんでくるようだ。美術好きの戦争孤児の少女が、絵画コレクターのマダムの手伝いをしながら、マティスの家政婦として雇われるまでのくだりはとてもドラマチックだ。マグノリアの白い花をマティスのところの届け、マティスの力強い視線に囚われる一人の少女と芸術家の存在感。尊敬と憧れとともにマティスの大きさが伝わってくる。

踊り子を描き続けたドガは、同時代のアメリカからパリに来た女性画家カサットの目を通して描かれる。まるでいまにも動き出しそうなほどのドガの踊り子たちの存在感の裏側には、世に認められるために戦い続けるドガの執念があった。、まだ少女でしかない踊り子を劇場から連れてきてアトリエでヌードモデルにして描いていた違和感を女性画家のカサットは感じる。ドガの描くことの凄味のようなものが「エトワール」という短編から伝わってくる。あるいは印象派のが画家たちを支えた画商であり、画材屋でもあったタンギー爺さんの娘のセザンヌへの手紙という形で、印象派の画家たちが世の中に認められるまでの姿が描かれる「タンギー爺さん」。セザンヌへの金の催促から始まる手紙は、印象派と呼ばれた画家たちが当時の画壇とはいかに別の価値観を持ったものだったかが伝わる。アトリエの中ではなく、町へ戸外へと光や自然、人間のありのままの姿を求めて出ていった画家たちの新たな時代の到来を感じさせてくれる。

そして、モネの睡蓮の連作集がオランジュリー美術館に収蔵されるこちになった経緯も含め、ひたすら光を求めたモネの晩年までの姿を、義理の娘ブランシュの目線を通して描かれる「ジヴェルニーの食卓」。オランジュリー美術館を訪れた時の白い楕円形の部屋に飾られた「睡蓮」の夢幻の世界の感動が思い出された。モネがいかにジヴェルニーの庭にこだわったか、そして刻々と移ろう光の変化を捉えようとしたのか。義娘のブランシュの視線は、モネをずっとそばで見てきた者のみの愛情を感じさせてくれる。どこまでが事実でどこまでがフィクションなのか、実際のところはよくわからない。ただ、あの睡蓮という夢幻的な絵の背景には、モネの光への執念がきっとあったのだろうと思う。そんなことを想像しながら、画家たちの人生に思いを馳せて、絵を見るとまた楽しくなる。
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      2013年映画ベスト5
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    1、「愛、アムール」
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    5、「ムーンライズ・キングダム」
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    2、「さよなら渓谷」
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    8、「恋のロンドン狂騒曲」
    9、「おとなのけんか」
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2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
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    2010年映画ベスト10
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2009年映画ベスト10
    3、リミッツ・オブ・コントロール
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<日本映画>
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