「ガルシアの首」サム・ペキンパー

ガルシア

男臭いサム・ペキンパーの映画のなかで『砂漠の流れ者』と同じくらい好きな映画がこの『ガルシアの首』だ。かつて中学生くらいの頃、映画館で公開時に観たのだが、久しぶりに再見した。うん、渋いねェ~。腐りかけた生首とのロードムービー。死臭に満ちた旅だ。これは、トミー・リー・ジョーンズが監督した『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』とよく似ている。あれは友の死体を引きずって、友の故郷まで行く話だったが、きっとこの『ガルシアの首』へのオマージュを込めた作品だったのだろう。

前半は、ガルシアの首に賞金がかけられ、男たちがガルシアを探す場面から始まる。酒場でこの話を聞いたピアノ弾きのウォーレン・オーツは、ガルシアが恋人のあばずれシンガーの元カレだったことを知る。しかも彼は事故ですでに死んでいる。ガルシアの故郷である墓地まで行って首を墓場から掘り出しに行く旅が映画の前半だ。ただの金目当ての旅。しかし、それは恋人と新たな生活を始めるための旅でもあった。

あばずれシンガーのイゼラ・ベガは、『砂漠の流れ者』の売春婦、ステラ・スティーブンスと似ている。酒場で歌い、いろんな男たちと楽しみ、その場限りで生きてきた彼女は、メキシコの道端の木の下で、ウォーレン・オーツから未来の生活を語られ、涙する。しかし、ピクニック気分の野営で、チンピラのバイク野郎に絡まれ、犯されそうになることで、夢ある未来への旅は、地獄へと下降する旅へと変わる。そして、男が墓地でガルシアの首を斬首しようとする場面で、哀れにも彼女は殺されてしまうのだ。そして、彼女は首のないガルシアの死体とともに、その場所に残される。「こいつと一緒がいいのかよ」と男に言われ・・・。

ウォーレン・オーツは、死んだガルシアに嫉妬しつつ、彼の首と旅をする。女を介した男二人のシンパシー。腐っていくガルシアの首は、次第に彼にとっての相棒となる。賞金のかかったガルシアの首をめぐっての追手との銃撃戦。旅の途中、ハエがたかるガルシアの首に話しかけ続けるウォーレン・オーツ。

この死の匂いに満ちたメキシコの土埃が立ちのぼる男臭い映画は、わびしくてやるせなくていいのだ。トップシーンの美しい水辺の女性の幸福感、木の下で恋を語る孤独な男女の束の間の安らぎ、そして徹底して荒野を走り続けるしかない荒んだ孤独感や虚無感、そして失った愛と傍らの死。メキシコの乾いた風土がとても効果的で、僕の大好きなロードムービーである。

『砂漠の流れ者』レビュー
『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』レビュー

原題:Bring Me the Head of Alfredo Garcia
製作年:1974年
製作国:アメリカ
配給:ユナイト映画
監督:サム・ペキンパー
脚本:ゴードン・ドーソン、サム・ペキンパー
製作総指揮:ヘルムート・ダンティーネ
製作:マーティン・バウム
撮影:アレックス・フィリップス・Jr.
編集:ガース・クレーヴン
キャスト:ウォーレン・オーツ、イゼラ・ベガ、ギグ・ヤング、ロバート・ウェッバー、ヘルムート・ダンティーネ、エミリオ・フェルナンデス、 クリス・クリストファーソン


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(カ)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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