「真夜中の五分前」行定勲

「GO」「世界の中心で、をさけぶ」「今度は妻家」などの恋ものに定評のある行定勲監督。男と女の微妙な空気感を描くのがうまい。本多孝好のベストセラー小説を中国・上海に舞台を移して、日中合作で映画化。

冒頭のプールに浮かぶ女性を俯瞰ショットで捉えた映像が象徴的。「私は私なの?」。揺れるアイデンティティ。双子の姉妹と一人の男の物語だ。双子の美人姉妹の一人と恋に落ちるというシチュエーションは誰もが一度は憧れる設定だ。村上春樹の小説でも、『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』で出てくる。「分裂した私」「私とはダレ?」「ほんとうってナニ?」がまさにテーマとなる。

姉と妹の二役をやるリウ・シーシーも美しいし、三浦春馬も美しい。時計修理工という設定もどこか浮世離れしているし、女優という演じる職業もまた夢物語である。映画を見ていても、結局あの双子の姉妹はどっちがどっちだったのか、わからないままにしてある。いつからルーメイとルオランがお互い入れ替わり、それぞれを演じていたのか。そして、そもそもルーメイとは誰なのか、ルオランとはどんな女性だったのか?謎を謎としたまま、夫である映画プロデューサーと恋人の三浦春馬を惑わす。時間の解釈も含め、「ほんとう」とは何か?も分からなくなる。幻想のような夢物語の謎かけを謎かけとして楽しまないと、訳が分からなくなる映画である。ただ、ちょっと映像が美しすぎて、引っ掛かりが弱いような気がする。窓ガラスを割った罪を、着替えることで相手に着せる少女の悪意が中途半端なまま終わってしまった感じ。人間の奥深い恐ろしさみたいなものがもうちょっと感じられても面白かった。


製作年:2014年
製作国:日本・中国合作
配給:東映
上映時間:129分
監督:行定勲
原作:本多孝好
脚本:堀泉杏
撮影:中山光一
美術:ジョウ・シンレン
編集:今井剛
キャスト:三浦春馬、リウ・シーシー、ジョセフ・チャン

☆☆☆3
(マ)
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ジャンル : 映画

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