「コレクションする女」エリック・ロメール

コレクション

「六つの教訓物語」シリーズの第4作。この映画は、アイデという奔放で魅力的な女性に振り回される男たちの物語である。

プローグで浜辺の水着美女が歩いているシーンが映し出される。足元や首筋や膝など色気たっぷりに女性の部位がアップでパンされる。そして、この映画の男たちが暗い部屋で語り合う場面。あるいは大きな屋敷で金髪の女性を海辺のバカンスに誘う気障な男アドリアン。アドリアンの恋人らしき金髪の女性は、「ロンドンに行くの」とアッサリとバカンス行きを断わり去っていく。アドリアンは画廊をオープンさせるため、骨董収集家との商談もある南仏サン・トロペへと一人で行く。誰にも邪魔されない静かな時間を過ごすために。

屋敷の部屋を訪れるアドリアン(パトリック・ボーショー)だが、女性のあえぎ声が聞こえ、ベッドで抱き合っている男女が部屋にいて驚く。次の朝、この別荘の持ち主らしい男ダニエル(ダニエル・ポムルール)とテラスで女のことを聞く。別荘に滞在している女アイデ(エデ・ポリトフ)は、次々と男を引っ張り込む尻軽女らしい。アドリアンは、女に興味などないと言い、何もしない時間を過ごすのがこのバカンスの目的なのだと語りが入る。完全な無の時間を過ごすため、読書をして何も考えないのだと語るアドリアンなのだが、知らず知らずのうちにアイデのことが気になり出す。あの女は俺を誘っているのかという自意識が膨らみだし、ダニエルとアドリアンとアイデをめぐっての三角関係も生まれたりする。

まぁ、よくある奔放な女をめぐる男たちの恋の鞘当てと言ってしまっては身も蓋もない。この映画で滑稽なのは、アドリアンの自意識の過剰さである。女のことなど興味ないと言いながらも、アイデのことが気になってしょうがない。アイデはそれほど考えている風でもなく、まさに自由気ままな感じが魅力的だ。

バカンス、海、別荘、テラス、木の下での昼寝や読書、田舎道のドライブなど。美しい自然、夏のまばゆい光の中で、男女が自由に過ごすのがバカンスだ。しかし、男と女がいればお互いに意識しないではいられない。何もしないではいられない。自意識や恋心や諍いが起きる。その短い夏の数日間をめぐっての若い男女の姿をそのまま描こうとしているのがロメールだ。バカンスや海や森というのは、ロメールにとっては欠かせない道具立てなのだ。直接的な性的場面はあまり描かれないが、つねに性が意識されている夏の海辺の映画だ。

エリック・ロメールの映画を観ると幸福な気分になるのはなぜだろう。自己中心的でスノビズムや虚栄や自意識や欲望にまみれている人間を辛辣に皮肉とともに笑いにしつつ、ロメールは人間をどこかで肯定しているからなんだろうと思う。その大きな視線が美しき自然と共に描かれるから、幸せないい気分になるのだろう。


原題 La collectionneuse
製作年 1966年
製作国 フランス
上映時間 96分
監督:エリック・ロメール
製作:バルベ・シュローデル、ジョルジュ・ド・ボールガール
脚本:エリック・ロメール
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:ブロッサム・トーズ、ジョルジュ・ゴメルスキ
キャスト:パトリック・ボーショー、エデ・ポリトフ、ダニエル・ポムルール

☆☆☆☆☆5
(コ)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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