今年の大ヒット映画『シン・ゴジラ』と『君の名は。』に共通するもの

今年の大ヒット&話題映画といえばこの2作であるのは誰もが認めるところだろう。なぜこれほどまでに、この2作がヒットしたのか?あらためて考えてみた。

米大統領選のトランプ勝利でもわかるとおり、いま世界は、グローバル化、新自由主義が行き着くところまで行ってしまい、その競争と疲弊、国家を超えた大企業の富の独占と国内中間層の衰退、貧困層との格差の拡大、さらに移民流入によるに失業率の増加と国境を超えた難民の混乱など、人々はウンザリしている。トランプは「アメリカ第一主義」を掲げ、イギリスはドイツばかりが儲けているEUから離脱し、自国の利益を取り戻そうとしている。

日本の安倍首相は、アメリカ追随、新自由主義者であるが、一方で「日本を取り戻す」、「戦後レジーム」からの脱却、古き良き日本という国家を再構築しようとしている。

世界は今後ますます内向きへとシフトしていくだろう。そんななかでのこの二つの映画である。内向きな志向性が同じなのだ。

そして、3.11の震災後の日本の状況が二つとも大きな要素になっている。アメリカの9.11同時多発テロ、日本の3.11東北大震災と原発事故は、時代の空気を大きく変えた。いつ、何が起きるか分からないという感覚。それは最近の世界的な異常気象も関係している。

具体的にいうと、まず『シン・ゴジラ』だが、この映画は3.11原発事故の官僚や政府、東電などの混乱ぶりを戯画化しつつ、大都市東京へのゴジラ襲来というこの未曽有の危機を乗り越えていく物語だ。テンポもよく、良く出来た映画であることは、私はレビューでも書いた。しかし、図式的な映画であることは否めない。何よりも今の日本人の気持ちにフィットしたのは、自衛隊と日本の一部のオタク的知恵者たちが、力を結集して、アメリカの助けも、国連軍の力も借りずに自国に力で、ゴジラを凍結させるところまで成し遂げたことだ。現実のアメリカの属国であるという不甲斐ないさ、ジレンマを誰もが意識するようになってきた今の日本にあって、この映画を観ることで、多くの人が留飲を下げたのだ。凍結は問題の先送りであり、解決ではないけれど、とりあえず封じ込めることに成功したのだ。それは、原発事故をアンダーコントロールし、封じ込めたと思いたい日本人の気持ちにフィットしている。

もう一つ『君の名は。』の方だが、レビューでも書いた通り、(ここからネタバレになるので、未見の方は要注意です!)、彗星の落下による災害事故で一瞬にして消えたはずの村が、時空を超えた主人公たちの努力で、村民たちの避難誘導に成功し、実際には多くの死者が出たにもかかわらず、奇跡的に村が救われたことに歴史を改ざんし、事故を無かったことにする物語だ。そのように歴史を修正することで、出会えなかった運命的な男女が、出会えるというハッピーエンドを制作者は用意した。つまり、痛ましい震災の記憶、原発事故で村が消滅した忌まわしい記憶を和らげるために、この物語は機能している。そこまで意図的ではないにしても、結果的に3.11の傷を癒すための物語に思えるのだ。そして、日本古来のアニミズム的文化の尊さが語られ、自然と都市は美しく調和して描かれる。それぞれの良さを映画は語り、身体的な苦しみや悩み、人間関係の煩わしさよりもプラトニックな一方的な愛が描かれる。

やや強引な解釈だろうか。ただ、そんな今の日本人の傷跡や現実の厳しさ、未来の無さを一度忘れさせ、日本人としての誇りをくすぐりつつ、明るい希望を示す映画のように思えるのだ。それがいい悪いではなく、そういう傾向があったからこそ、この2作品はここまでヒットしたということではないだろうか。
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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