「湯を沸かすほどの熱い愛」中野量太

湯

評判の映画で、宮沢りえが好演しているのだろうし、予告編を観ただけでも面白そうだなとは思いつつ、病気もの、死を宣告されてのお涙頂戴的な展開が鼻につきそうで、観るのを後回しにしてきた。ちょっと時間が出来て、いいタイミングで近くでやっていたので観た。

なるほど。いい映画だ。脚本は単なる病気モノにしないために、ひねっていて清々しく観ることが出来た。ガンを宣告されて、お母さんの宮沢りえが死ぬ家族の話なんだけれど、家族の描き方がなかなか面白い。そして、誰もが認めるところであろうが、女優宮沢りえがいなければ成立しなかった映画である。前回の『紙の月』も見事だったけれど、この双葉という女性の魅力、存在感は、宮沢りえが演じることで、ここまで輝いたと言えるだろう。

ネタバレになるのであまり書けないのだが、単なる家族の物語になっていないところがいい。是枝監督もずっと追求し続けている「家族とは何か?」というテーマを、中野量太監督なりに考えて作っている。家族として一緒にいるとはどういうことなのか?親子と何か?支え合うこととは?なぜ人は人を支えたくなるのか?

この映画の最後の方で、探偵の男の台詞もあるが、「誰かに何かをしてあげたいという気持ちは、それ以上のことを自分がされているから」なのだ。この双葉という女性の魅力は、まわりの人々に厳しく接しつつも、惜しみなくを与えているからだ。だからみんな「双葉さんのために何かしたくなる」。彼女の魅力を伝えるためのさまざまなエピソードが、次々と展開されていくのだが、旅先で出会った男、松坂桃李との短いエピソードもいい。冴えないけれど、なぜか憎めないオダギリジョーはいつも通りだし、銭湯という設定もうまくハマった。たぶんラストシーンを最初に思いついて、この物語を書いたのではないだろうか。しゃぶしゃぶを食べたくなった。


製作年 2016年
製作国 日本
配給 クロックワークス
上映時間 125分
監督:中野量太
脚本:中野量太
エグゼクティブプロデューサー:藤本款、福田一平
プロデューサー:深瀬和美、若林雄介
撮影:池内義浩
照明:谷本幸治
美術:黒川通利
音楽:渡邊崇
主題歌:きのこ帝国
キャスト:宮沢りえ、杉咲花、オダギリジョー、松坂桃李、伊東蒼、篠原ゆき子、駿河太郎

☆☆☆☆4
(ユ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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