「ラ・ラ・ランド」デイミアン・チャゼル

ララランド

数々のアカデミー賞候補となり、作品賞の発表間違いも話題になったが、結局、チェゼル監督の監督賞と、エマ・ストーンの主演女優賞など計6部門でオスカー像を獲得した・・・という話題作なので、観ておこうと思ったのだが、ふ~~~ん、脚本がイマイチだなぁ~という感想。ミュージカルということで、単純に楽しみたいと思って行ったのだが。。。

冒頭は、長回しのワンカットで、渋滞の高速道路の車の上で繰り広げられる大人数のダンスシーン。この映画の中で、ダンスシーンは長回しワンカットが多用されている。それでこの高速道路の大エキストラのダンサーたちを動員したオープニングは、確かに派手で撮るのが大変だったろうなぁと思う。実際の高速道路でロケしているから、1日がかりの大ロケ―ションだったことだろう。だけど、まぁそれだけ。結局、予告編のダンスシーンを短く編集すると、カラフルで夢のように感じて面白そうに思えるが、それ以上ではなかった。

オーディションに落ちまくっている女優志望のエマ・ストーンが女友達に誘われてパーティーに行くシーンはなかなかいい。赤、黄色、青、グリーンのカラフルなドレスで踊る場面の色彩感覚は幸福感でいっぱいになる。さらに、エマ・ストーンがライアン・ゴズリングとパーティーで再会し、夜景の見える街灯の下で、突然タップシューズに履き替えて踊り出す。わざわざミュージカルの不自然さを見せることで、そのお約束を描きつつ、二人の恋のダンスが動き出す。レストランから流れる音楽キッカケで、『理由なき反抗』の映画館デートへとエマ・ストーンが走りだし、『理由なき反抗』でも使われたグリフィス天文台での夜のデート。映画の夢の中に二人の夢が重なり、恋が始まるウキウキ感が音楽とダンスとともに描かれる。このあたりまでは、ミュージカルとしてまだいい。

だけど映画中盤になると、なんだかもったりとしてきて、つまらなくなる。二人の夢が少しずつズレていく展開なのだが、そもそもライアン・コズリングの夢がよくわからない。モダンジャズやフリージャズへの傾倒が語られ、正統的ジャズの店を持つことを夢にしているのだが、彼が奏でるピアノはちっともモダンジャズではないし、商業的なバンドに不本意ながら加わることも、彼の目指す音楽がしっかり描かれていないだけに、今ひとつ葛藤になっていない。一方、エマ・ストーンはジャズ嫌いなのに、ジャズに惹かれていく過程もよくわからないし、女優志望の夢も、一人芝居の舞台への意気込みも中途半端だ。女優挫折の苦悩が弱いだけに、パリのおばさんのエピソードが語られ、オーディションで歌い出す場面も、昂揚感につながっていかない。つまり、物語の肝となる夢の強さと挫折、そして二人のすれ違いのドラマが曖昧なのだ。だから、「夢を捨てるな」というライアン・ゴズリングの車のクラクションもあまり感動できないし、踊りそのものに昂揚感が生まれないのだ。

このミュージカルの見せ場は、最後の「ありえたかもしれない二人の夢」がダンスで表現される場面だが、そのハリウッド的ミュージカルへのオマージュを込めた総天然色のダンスシーンも、恋愛ドラマとしてのせつなさがもの足りないため、総花的だ。

『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』などのフレンチミュージカルも思い出され、期待感もあっただけに、ちょっと物足りない作品だった。ジャズ云々はともかくとして、ミュージカルとしての音楽は良かったです。


原題 La La Land
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ギャガ、ポニーキャニオン
上映時間 128分
監督:デイミアン・チャゼル
脚本:デイミアン・チャゼル
撮影:リヌス・サンドグレン
美術:デビッド・ワスコ
衣装:メアリー・ゾフレス
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
作詞:ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール
エグゼクティブ音楽プロデューサー:マリウス・デ・ブリーズ
音楽監修:スティーブン・ギシュツキ
振付:マンディ・ムーア
キャスト:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、キャリー・ヘルナンデス、ジェシカ・ローゼンバーグ、ソノヤ・ミズノ、ローズマリー・デウィット、J・K・シモンズ、フィン・ウィットロック、ジョシュ・ペンス、ジョン・レジェンド

☆☆☆3
(ラ)
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ジャンル : 映画

tag : ミュージカル ☆☆☆3

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