「ありがとう、トニ・エルドマン」マーレン・アーデ

トニ・エルドマン

第69回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。ドイツで大ヒットを記録したという父と娘のヒューマンドラマ。

親子というものは、なんと面倒くさく、厄介で、温かいものなのか。キャリアウーマンで、なんでも完璧にこなすデキる女である娘に、父は「幸せなのか?」と問いかける。仕事に追いかけられ、人生を楽しむ余裕がないように見えたからだ。そんな娘と対照的な父親は、いつもイタズラが大好きな子供のようなキャラクター。「ユーモアを忘れるな」と娘の仕事関係の人間に忠告する場面があるが、父親にとって「ユーモア」こそが、人生の楽しみなのかもしれない。人を笑わせたり、喜ばせたりする遊び心。ブーブークッションで娘を子供のころから笑わせ続けてきたのだろう。そんな父親は、娘が大人になっても変らない。冗談を言い、娘を笑わせようとするが、娘はそんな父親を見るたびに、苛立ち、鬱陶しくてしょうがない。仕事で成功することに、心のすべてが支配され、父親のユーモアを受け容れる余裕がないからだ。

父親が娘の誕生日パーティーで、毛だらけの化け物の仮装をして現れる場面がいい。壊れかけていた娘の心は、かつての父と娘に戻り、化け物の仮装の父に抱きつく。父のくだらないお節介は、本当に厄介でしつこい。その鬱陶しさこそが、父のであり、親子の関係なのだ。音楽をほとんど使わず、しつこい父親の娘へのつきまといに、やや長いかなとも思うが、父親役のペーター・シモニスチェクがいい味を出している。


原題 Toni Erdmann
製作年 2016年
製作国 ドイツ・オーストリア合作
配給 ビターズ・エンド
上映時間 162分
監督:マーレン・アーデ
脚本:マーレン・アーデ
撮影:パトリック・オルト
美術:ジルケ・フィッシャー
編集:ハンケ・パープリース
キャスト:ペーター・シモニスチェク、サンドラ・フラー、ミヒャエル・ビッテンボルン、トーマス・ロイブル、トリスタン・ピュッター、ハデビック・ミニス、ルーシー・ラッセル、イングリッド・ビス、ブラド・イバノフ、ビクトリア・コチアシュ

☆☆☆☆4
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tag : 人生 家族 ☆☆☆☆4

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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