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「幼な子われらに生まれ」三島有紀子

幼子

とても誠実な映画だ。大げさな出来事も事件も起きない。赤ちゃんが生まれることで家族の中で起きた小さな波紋、そのことをキッカケに家族家族になっていく過程を描いたドラマだ。役者たちも好演、子役がいい。そして演出もマンションの階段や倉庫などの空間を効果的に使いながら抑えた感じがいい。

再婚同士の夫婦。妻、田中麗奈の連れ子の二人は、夫、浅野忠信とは血が繋がっていない。その夫婦に赤ちゃんが生まれることになる。何も知らずに無邪気に喜ぶ妹と、血のつながらない父への反感を抱く姉。本当の父を求める気持ち。一方で、浅野忠信は別れた妻との子供と月に1回会って、遊園地などに行っている。パパと無邪気に甘える娘。血の繋がっている一緒に暮らしていない娘と血の繋がっていない一緒に暮らしている娘。それぞれの娘たちとパパとの葛藤が物語の中心だ。田中麗奈の最初の夫、二人の娘たちの父は、宮藤官九郎。子供が鬱陶しくて、結婚していた時はDV夫でもあった。待たれたり、すがられたりすることが束縛でしかないこの男は、家庭から逃げ出そうとギャンブルや酒や女などあらゆることをやったという。一方、浅野忠信の最初の妻は寺島しのぶ。大学の准教授のインテリで夫婦別姓、働くことを生きがいにしていて、浅野忠信との間に出来た子供を勝手に堕胎してしまったりして、二人の溝が広がっていく。寺島しのぶは、元夫のことを「あなたは、理由は聞くくせに気持ちは聞かない」と責める。気持ちに寄り添えなかった浅野忠信。血の繋がらない娘が、自分を毛嫌いしだして、次第に苛立っていく。出向させられた仕事の屈辱を一人カラオケで発散する。

細かなディティールの描写が、リアルで効果的。二女の絵やお祭りの金魚の死、長女への実父からの贈り物のぬいぐるみ。デパートの屋上。浅野忠信の実の娘が、今の家族の車に戸惑いながら乗せてもらう場面。二女に「だ~れ?」と聞かれて「パパの友達」と言う場面などせつない。

見終った感も決して悪くなく、バラバラになりつつあった血の繋がっていない家族が、本当の家族になっていく過程が、それぞれのしこりを抱えつつリアルに描いているところがいい。

製作年 2017年
製作国 日本
配給 ファントム・フィルム
上映時間 127分
監督:三島有紀子
原作:重松清
脚本:荒井晴彦
プロデューサー:森重晃、江守徹
撮影:大塚亮
照明:宗賢次郎
美術:井上心平
編集:加藤ひとみ
音楽:田中拓人
キャスト:浅野忠信、田中麗奈、南沙良、鎌田らい樹、新井美羽、水澤紳吾、池田成志、宮藤官九郎、寺島しのぶ

☆☆☆☆4
(オ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : 家族 ☆☆☆☆4

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2017年ベスト10
<洋画>
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    「誰のせいでもない」
    「ありがとう、トニー・エルドマン」
    「オン・ザ・ミルキー・ロード」
    「パーソナル・ショッパー」
    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
    「マリアンヌ」
    「婚約者の友人」
    「セールスマン」

<日本映画>
    「散歩する侵略者
/予兆 散歩する侵略者」
    「三度目の殺人」
    「南瓜とマヨネーズ」
    「光(大森立嗣)」
    「息の跡」
    次点「彼女がその名を知らない鳥たち」
    次点「幼な子われらに生まれ」
    次点「バンコクナイツ」


2016年ベスト10
<洋画>
    ダゲレオタイプの女
    マイ・ファニー・レディ
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2015年ベスト10
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2014年ベスト10
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    <日本映画>
    1、「共喰い」
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    7、「風にそよぐ草」
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    10、「別離」
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番外
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    3、「演劇1&2」
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2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
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    3,「あぜ道のダンディ」
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    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
    7、クレイジー・ハート
    8、ずっとあなたを愛してる
    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
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2009年映画ベスト10
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<日本映画>
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