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「彼女がその名を知らない鳥たち」白石和彌

鳥たち

人間というものが、いかにゲスでくだらなくて愚かな存在であることを再確認する映画。汚くて下劣ぶりを発揮している阿部サダヲ、イケメンのつるっとしたゲス男ぶりが見事な松坂桃李、打算的なクズ男としてこれまたピッタリの竹之内豊、そして共感度ゼロと宣伝コピーにもある嫌な女、十和子を演じた蒼井優。みんな素晴らしい。チョイ役ながら不気味な存在感があった醜悪なエロじじい国枝を演じた中嶋しゅうも良かった。そんなクセモノ揃いの役者たちを見事にまとめあげた白石和彌監督の演出力もいい。『凶悪』でもピエール瀧、リリー・フランキー、山田孝之などの個を見事に引き出していた。

「共感度0%、不快度100%、でも、まぎれもないの物語」というキャッチコピーがついているように、共感できない下劣で弱く愚かな人間たちばかりが登場する。ラストにそれなりの展開があり、ネタバレになるので多くは語れないが、の物語であるのも確かだ。ただ、いびつで歪んだとでも言おうか・・・。人は孤独で哀しい。それでも人をすることを止めない。それだけが、生きる力にもなるのだから。

映画の前半に、クレーマーである十和子(蒼井優)に、百貨店の時計売り場のイケメン主任・松坂桃李が自宅に替わりの時計を持って来る時、いきなり彼女にキスをする場面がある。この強引とも言える突然のゲスな展開に、ついていけるかどうかが映画鑑賞の分かれ目のような気がする。そこから映画は一気にゲスで下劣な展開になっていく。お互いの「孤独」が惹かれ合ったと、あとで述懐する松坂桃李だが、やはりあの展開は無理があるような気がする。いかに十和子がイケメンに弱く、物欲しそうな顔をしていたとしても、松坂桃李が欲まみれの軽薄ゲス男だとしても。ただ、男と女が結びつくのは、そんなものなのかもしれない。もう一人のクズ男、竹之内豊が、車に十和子を乗せたのも、そんな「孤独」が惹き合ったとして描かれる。の欲望を中心に、どんどん自分を見失っていく男と女。そんなことも含めたの愚かさこそを自覚するためにも価値のある映画かもしれない。

原作とどう違うか分からないが、時間軸を含めた展開の構成も良かったと思う。

製作年 2017年
製作国 日本
配給 クロックワークス
上映時間 123分
監督:白石和彌
原作:沼田まほかる
脚本:浅野妙子
撮影:灰原隆裕
照明:舟橋正生
編集:加藤ひとみ
音楽:大間々昂
キャスト:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、村川絵梨、赤堀雅秋、赤澤ムック、中嶋しゅう、竹野内豊

☆☆☆☆4
(カ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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映画ベスト10 2009~2017年
2017年ベスト10
<洋画>
    「パターソン」
    「動くな!死ね!甦れ!」(1989)
    「誰のせいでもない」
    「ありがとう、トニー・エルドマン」
    「オン・ザ・ミルキー・ロード」
    「パーソナル・ショッパー」
    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
    「マリアンヌ」
    「婚約者の友人」
    「セールスマン」

<日本映画>
    「散歩する侵略者
/予兆 散歩する侵略者」
    「三度目の殺人」
    「南瓜とマヨネーズ」
    「光(大森立嗣)」
    「息の跡」
    次点「彼女がその名を知らない鳥たち」
    次点「幼な子われらに生まれ」
    次点「バンコクナイツ」


2016年ベスト10
<洋画>
    ダゲレオタイプの女
    マイ・ファニー・レディ
    キャロル
    シング・ストリート 未来へのうた
    リザとキツネと恋する死者たち
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    サウルの息子
    マジカル・ガール
    ブリッジ・オブ・スパイ
    手紙は憶えている
<日本映画>
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    クリーピー 偽りの隣人
    海よりもまだ深く
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    SCOOP!
    永い言い訳
    オーバー・フェンス
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    葛城事件
    湯を沸かすほどに熱い愛
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2015年ベスト10
<洋画>
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    さよなら人類
    さらば、愛の言葉よ
    毛皮にヴィーナス
    雪の轍
    愛して飲んで歌って
    サンドラの週末
    サイの季節
    インヒアレント・ヴァイス
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<日本映画>
    海街dairy
    岸辺の旅
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2014年ベスト10
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      2013年映画ベスト5
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    <日本映画>
    1、「共喰い」
    2、「さよなら渓谷」
    3、「恋の渦」
    4、「リアル 完全なる首長竜の日」
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<洋画>
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番外
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    3、「演劇1&2」
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2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
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    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
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2009年映画ベスト10
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<日本映画>
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