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「8年越しの花嫁 奇跡の実話」瀬々敬久

8年


試写会で観ました。TBS出資映画でレビューを書くのは『ビリギャル』以来かな。難病モノでブライダルもので、奇跡の実話は以前もあった(『抱きしめたい』)し、お涙頂戴のハッピーエンド恋企画に目新しさを感じなかったので、正直、期待していなかった。ところが、この映画、侮るなかれ、よく出来ています。さすが、職人監督、瀬々敬久。この監督は、『64ロクヨン』や『感染列島』などのメジャーな娯楽映画を撮る一方で、『ヘブンズストーリー』や新作の『最低。』、『菊とギロチン 女相撲とアナキスト』(新作2本は未見だが楽しみ)などという作家性の強い個性的な作品を作っている骨のある監督だ。そして、脚本はテレビドラマ界では最も安定感のある岡田惠和ということで、作り手がまずしっかりしている。そして好青年を絵に描いたような佐藤健、さらに難病のヒロインに挑戦した土屋太鳳。杉本哲太、薬師丸ひろ子、北村一輝、浜野謙太などが脇を固めている。

積極的でアクティブなヒロインが好青年と出会い、婚約して幸せ絶頂の時に、突然倒れる。卵巣がんで出来た抗体が脳を攻撃したと説明されるが、あまり例がない突然の難病に襲われる。実話なので、なんとも皮肉な人生というしかない。幸せの絶頂から地獄への転落。昏睡状態がしばらく続き、婚約者の尚志(佐藤健)は、両親からもう見舞いに来なくていいよと言われる。彼の人生を寝たきりの病気の娘から解放してあげたいという親心だ。そこから、この二人のドラマが始まる。

車での二人のドライブから一人で走るバイクへ。そして、雨、携帯動画メールが効果的に使われている。恋とは、「一人で相手を想う時間」が必要なのだ。それは二人で一緒に幸せの時間と同じぐらい貴重な時間なのだ。それぞれ、一人でいる時間。その時に想う相手への気持ち。その恋い焦がれる想いの積み重ねが、を育てる。それがないと、関係はどうしても薄っぺらなものになる。彼は、彼女の記憶が失われたことで、別れて暮らす決意をする。小豆島で一人で暮らしながら、想う彼女への想い。一方、彼女が病気から回復するとともに、失われた記憶と葛藤しつつ、彼の携帯動画メールを通じて、彼への想いをもう一度、募らせていく。

モノには必ず障壁が必要となる。物語の枷(カセ)だ。携帯電話が広まり、すれ違いもなくなり、何でも自由になってしまった今の時代、恋の枷は作りにくい。だから、ワンパターンの病気(ガンなどの死や難病もの、記憶喪失もの)とか、タイムスリップとか、入れ替わりとなどの非日常的(SF的)な枷がよく使われる。そういうパターンの映画ではあるのだけれど、難病をことさら悲劇として、泣かせようとして描かずに、離れている一人一人の孤独をしっかりと描いているところがいい。孤独に相手を想う恋のシンプルな強さを思い出させてくれる映画だ。


製作年 2017年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 119分
監督:瀬々敬久
脚本:岡田惠和
製作総指揮:大角正、平野隆
撮影:斉藤幸一
照明:豊見山明長
美術:三ツ松けいこ
編集:早野亮
音楽:村松崇継
主題歌:back number
キャスト:佐藤健、土屋太鳳、北村一輝、浜野謙太、中村ゆり、堀部圭亮、古舘寛治、杉本哲太、薬師丸ひろ子

☆☆☆☆4
(ハ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : 人生 ☆☆☆☆4

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2017年ベスト10
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    「動くな!死ね!甦れ!」(1989)
    「誰のせいでもない」
    「ありがとう、トニー・エルドマン」
    「オン・ザ・ミルキー・ロード」
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    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
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<日本映画>
    「散歩する侵略者
/予兆 散歩する侵略者」
    「三度目の殺人」
    「南瓜とマヨネーズ」
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2016年ベスト10
<洋画>
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2015年ベスト10
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    雪の轍
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2014年ベスト10
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    1、「共喰い」
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番外
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2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
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    3,「あぜ道のダンディ」
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    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
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    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
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2009年映画ベスト10
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<日本映画>
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