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「シルバー・グローブ/銀の惑星」アンジェイ・ズラウスキー

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とんでもない映画を観てしまった。前半、睡魔にも襲われたので、とてもレビューを書く資格はないのだが、あまりにもぶっ飛んだ映画だったので、備忘録として書いておく。たぶん、睡魔に襲われなくても、訳がわからなかったであろう。そう、まったく奇妙で狂気のような映画なのだ。よくこの監督のぶっ飛んだ世界に役者、スタッフたちがついていったものだと感心する。それなりのカリスマ性があるのだろう。160分の長い映画なので、途中でもう早く終わって欲しいような気分だった。とにかく意味不明な叫ぶような台詞まわし。喚き、怒鳴り、ヒステリックなのだ。さらに手作り感のあるチープな衣装や装飾、独特な世界観で戦いが繰り広げられる。カルト映画で有名なアレハンドロ・ホドロフスキーよりも分からない・・・。

東京で時間ができた時は、あまり札幌では観られないようなマイナーな映画を観るようにしている。それでこの夜、新文芸坐にて映画批評家・大寺眞輔さんの講義付きのシネマテーク企画として、知らないポーランド映画の上映があったので行った。

SF映画という情報だけで観たのだが、アンドレ・タルコフスキーのようなスタイリッシュさはないし、SF映画の異世界の描き方も中途半端だ。地球に似たような空気がある惑星という設定なので、海岸や砂浜や何もない平原や洞窟などで撮影されている。どちらかというと、S・キューブリックの「2001年宇宙の旅」やコッポラの「地獄の黙示録」の哲学的な世界に近いのだが、とにかく展開がわかりづらい。上映後の大寺眞輔さんの説明でなんとか物語は理解は出来た。

そもそもこの映画、1977年、ポーランド政府によって撮影中止を言い渡され、完成していないのだ。膨大な制作費をかけ、ヨーロッパ各地でロケを敢行していたのだが、すべて撮影をやめ、小道具も衣装も処分せよ、と時の共産党政権に言われたそうだ。その後フランスを中心に活動していたアンジェイ・ズラウスキーは、1987年、ポーランドに戻り、フィルムの欠落部分をナレーションと実景映像などで埋める形で、無理やり完成させたのだ。中止を言い渡された呪われたフィルムとして。だから映画はとても粗い。物語の進行も、登場人物たちの描かれ方も、そして欠落だらけのつぎはぎ映像も、音の使い方も。すべてが粗く、雑で、強引なのだ。完成度は低く、映画としては大いなる失敗作である。しかし、なんだか熱量だけはあるのだ。人類そのものを描こうとしたその壮大なる想像力だけは感じる。

原作は、監督の大叔父のイェジイ・ジュワフスキによる同名小説で、月の話だそうだが、設定を地球と似た惑星に代えている。宇宙船で惑星に不時着した乗組員たちは、子孫を作り、文明を築いていく。人類の創世記だ。文明、宗教、部族の対立。生き残った最後の宇宙飛行士が、地球に向かってロケットを飛ばす。そのロケットには不時着してからの映像が収められていた。それを地球で拾ったマレックという科学者が、妻に先立たれた地球での生活を捨て、再びその惑星に向かい、降り立つ。そして、救世主として惑星の住民たちに迎え入れられるのだ。テレパシーを持つ鳥の頭をしたようなシェルンという現地民たちとの戦い。そして、最後はマレックは救世主ではなかったと住民から石を投げつけられ、磔刑にされて終わる。まさに黙示録的キリスト教の世界である。欲望、暴力宗教、戦争、幻想

もう一度観るかというと、遠慮しておく。だけど、アンジェイ・ズラウスキー監督の他の作品は、怖いもの見たさで観るかもしれない。アフタートークが演劇でも映画でも最近よく行われているが、こういうトークイベントというのも面白いと思った。

原題 Na srebrnym globie
製作年 1987年
製作国 ポーランド
上映時間 : 160分
監督:アンジェイ・ズラウスキー
脚本:アンジェイ・ズラウスキー、イェジー・ズラウスキー
原作:イェジー・ズラウスキー
キャスト:アンジェイ・セベリン、クリスティナ・ヤンダ、ラジーナ・ディラグ、イェジー・トレラ

☆☆☆3
(シ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : SF 幻想 暴力 宗教 ☆☆☆3

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2017年ベスト10
<洋画>
    「パターソン」
    「動くな!死ね!甦れ!」(1989)
    「誰のせいでもない」
    「ありがとう、トニー・エルドマン」
    「オン・ザ・ミルキー・ロード」
    「パーソナル・ショッパー」
    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
    「マリアンヌ」
    「婚約者の友人」
    「セールスマン」

<日本映画>
    「散歩する侵略者
/予兆 散歩する侵略者」
    「三度目の殺人」
    「南瓜とマヨネーズ」
    「光(大森立嗣)」
    「息の跡」
    次点「彼女がその名を知らない鳥たち」
    次点「幼な子われらに生まれ」
    次点「バンコクナイツ」


2016年ベスト10
<洋画>
    ダゲレオタイプの女
    マイ・ファニー・レディ
    キャロル
    シング・ストリート 未来へのうた
    リザとキツネと恋する死者たち
    グッバイ・サマー
    サウルの息子
    マジカル・ガール
    ブリッジ・オブ・スパイ
    手紙は憶えている
<日本映画>
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    クリーピー 偽りの隣人
    海よりもまだ深く
    ふきげんな過去
    SCOOP!
    永い言い訳
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    ディストラクション・ベイビーズ
    葛城事件
    湯を沸かすほどに熱い愛
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2015年ベスト10
<洋画>
    やさしい女
    さよなら人類
    さらば、愛の言葉よ
    毛皮にヴィーナス
    雪の轍
    愛して飲んで歌って
    サンドラの週末
    サイの季節
    インヒアレント・ヴァイス
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<日本映画>
    海街dairy
    岸辺の旅
    FOUJITA
    百円の恋
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2014年ベスト10
<洋画>
    エレニの帰郷
    グランド・ブタペスト・ホテル
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    6才のボクが、大人になるまで。
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    ウォールフラワー
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      2013年映画ベスト5
<洋画>
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    2、「ホーリー・モーターズ」
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    4、「いとしきエブリデイ」
    5、「ムーンライズ・キングダム」
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    <日本映画>
    1、「共喰い」
    2、「さよなら渓谷」
    3、「恋の渦」
    4、「リアル 完全なる首長竜の日」
    5、「Playback」(2012年)


    2012年映画ベスト10
<洋画>
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    3、「Pina ピナ・バウシュ 躍り続けるいのち」
    4、「ライク・サムワン・イン・ラブ」
    5、「きっと ここが帰る場所」
    6、「ドライヴ」
    7、「風にそよぐ草」
    8、「恋のロンドン狂騒曲」
    9、「おとなのけんか」
    10、「別離」
    次点 「裏切りのサーカス」
番外
    「永遠の僕たち」
    「J・エドガー」
    「家族の庭」

    3、「演劇1&2」
    4、「夢売るふたり」
    5、「アウトレイジビヨンド」
    番外 「ヒミズ」


2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
    7、クレイジー・ハート
    8、ずっとあなたを愛してる
    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
    4、さんかく
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2009年映画ベスト10
    3、リミッツ・オブ・コントロール
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    9、レスラー
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<日本映画>
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