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東浩紀の「観光客の哲学と公共空間」という講演を聴く

先日、東浩紀の「観光客の哲学と公共空間」という札幌市内の地下歩行空間で行われた無料講演を聴きに行った。東浩紀はゲンロンウェブサイトなどを運営している批評家であり、『ゲンロン0―観光客の哲学』という著書も出し、この本で第71回毎日出版文化賞も受賞している。

東浩紀によると、観光客とは村人(共同体の内)でも、旅人(外)でもない存在であり、観光の時代を迎えている現代にあって、政治思想も社会思想も観光については考えられていない。だから観光という視点から見えてくるものがあるはずだと語る。

カール・シュミットの政治学を引き合いに出しつつ、その友敵理論、友か敵かの二項対立に峻別するのが、政治学であり、その二項対立はますます先鋭化しているのが現代だと指摘する。安倍派か反安倍か、憲法改正か反対か、グローバリズムかナショナリズムか、被災者の敵か味方か、原発に賛成か反対か、内か外か、友か敵か、つねに「お前はどっちだ?」と迫られ、ポリティカルコレクトネス=政治的正しさを求められる時代になった、と語る。

つまり、「私」が崩壊し、「公」の立場に回収される時代。「私」の領域に「公」の権力は介入し、「私」を公的にさらして「自分が正しい」と証明しなければいけない時代。「公」と「私」の境界は単純化され、相互監視社会になった。過度に公的にふるまおうとするポピュリズム。友と敵の分断が強くなっている。政治的正しさを態度表明しなければならない。どちらでもない「もやもや」が認められなくなってきた。

しかし、観光客はそのどちらにも入らない第3の立場。フラッと来て、欲望のままに動き、責任をとらない。いい加減な存在。外でも内でもない。グローバル社会では、この観光客の存在を考えるべきだとする。

「私」が「私」のまま、公共へと繋がる新しい回路はないのか。「ゆるやかな公と私」でいられる方法はないのか。そこで注目したのが観光客だということらしい。

東浩紀は、チェルノブイリツアー、ダークツーリズムを毎年行っている。見たいものしか見ないというような取材ではなく、無目的に、偶然の出会いがあるようなツアー。ツアーに参加する前は、原発作業員の差別や健康被害にばかり関心があったツアー客たちが、ウクライナの自然やソ連邦の産業遺構や、廃炉作業員たちの誇りなどに触れることによって、考え方が多様化される。観光によって、友と敵に分断された関係をもう一度「つなぎ直す」ことができるのではないか、と考える。単純化から多様性へ。「FUKUSIMA」もまた同じこと。

東浩紀が活動しているゲンロンカフェもまた、ゆるやかな半双方向的な空間だという。一方的な講義(受け身的)でもなく、精神的なハードルが高い双方向的なワークショップ(能動的)でもない。ニコニコ動画で、ネットを通じたツッコミが入り、一方的な講義でも、双方向的なワークショップでもない、半双方向的な仕掛けになっている。

つまり東浩紀は「ゆるやかな公的な私」というものを作っていきたい、という。そこで、「観光」が断片化した社会を縫合する機能を持つのではないか、と。公共的な空間は、単純化されるべきではなく、複雑なままつながる、「私」が政治的正しさに回収されない空間づくりこそ必要なのだと語っていた。


著書を読んでいないのでよくわからないが、友か敵か、分断しつつある監視社会というのはその通りだし、複雑で多様で、ゆるやかな関係、「もやもや」もアリの「私」と「公」の単純化されないつながりがあればあるほど、人は息苦しくなく、ラクに楽しくなる。そこまでは共感できるのだが、それにどう「観光客」が関わってくるのか、いまひとつピンとこなかったなぁ。まぁ、内でもなく外でもなく、グローバリズムかナショナリズムかの二者択一でもない、単純化されない思考、世界をどうやったら作れるかなんだろうけどね。
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映画ベスト10 2009~2017年
2017年ベスト10
<洋画>
    「パターソン」
    「動くな!死ね!甦れ!」(1989)
    「誰のせいでもない」
    「ありがとう、トニー・エルドマン」
    「オン・ザ・ミルキー・ロード」
    「パーソナル・ショッパー」
    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
    「マリアンヌ」
    「婚約者の友人」
    「セールスマン」

<日本映画>
    「散歩する侵略者
/予兆 散歩する侵略者」
    「三度目の殺人」
    「南瓜とマヨネーズ」
    「光(大森立嗣)」
    「息の跡」
    次点「彼女がその名を知らない鳥たち」
    次点「幼な子われらに生まれ」
    次点「バンコクナイツ」


2016年ベスト10
<洋画>
    ダゲレオタイプの女
    マイ・ファニー・レディ
    キャロル
    シング・ストリート 未来へのうた
    リザとキツネと恋する死者たち
    グッバイ・サマー
    サウルの息子
    マジカル・ガール
    ブリッジ・オブ・スパイ
    手紙は憶えている
<日本映画>
    淵に立つ
    クリーピー 偽りの隣人
    海よりもまだ深く
    ふきげんな過去
    SCOOP!
    永い言い訳
    オーバー・フェンス
    ディストラクション・ベイビーズ
    葛城事件
    湯を沸かすほどに熱い愛
    次点この世界の片隅に


2015年ベスト10
<洋画>
    やさしい女
    さよなら人類
    さらば、愛の言葉よ
    毛皮にヴィーナス
    雪の轍
    愛して飲んで歌って
    サンドラの週末
    サイの季節
    インヒアレント・ヴァイス
    ソニはご機嫌ななめ

<日本映画>
    海街dairy
    岸辺の旅
    FOUJITA
    百円の恋
    この国の空


2014年ベスト10
<洋画>
    エレニの帰郷
    グランド・ブタペスト・ホテル
    罪の手ざわり
    ウルフ・オブ・ウォールストリート
    ジャージー・ボーイズ
    インサイド・ルーウィン・デイヴィス
    6才のボクが、大人になるまで。
    フランシス・ハ
    ウォールフラワー
    ある過去の行方

    <日本映画>
    そこのみにて光輝く
    ニシノユキヒコの恋と冒険
    紙の月
    Sventh Code
    私の男


      2013年映画ベスト5
<洋画>
    1、「愛、アムール」
    2、「ホーリー・モーターズ」
    3、「オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ」
    4、「いとしきエブリデイ」
    5、「ムーンライズ・キングダム」
    ※番外「カリフォルニア・ドールズ」(1981年)

    <日本映画>
    1、「共喰い」
    2、「さよなら渓谷」
    3、「恋の渦」
    4、「リアル 完全なる首長竜の日」
    5、「Playback」(2012年)


    2012年映画ベスト10
<洋画>
    2、「少年と自転車」
    3、「Pina ピナ・バウシュ 躍り続けるいのち」
    4、「ライク・サムワン・イン・ラブ」
    5、「きっと ここが帰る場所」
    6、「ドライヴ」
    7、「風にそよぐ草」
    8、「恋のロンドン狂騒曲」
    9、「おとなのけんか」
    10、「別離」
    次点 「裏切りのサーカス」
番外
    「永遠の僕たち」
    「J・エドガー」
    「家族の庭」

    3、「演劇1&2」
    4、「夢売るふたり」
    5、「アウトレイジビヨンド」
    番外 「ヒミズ」


2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
    7、クレイジー・ハート
    8、ずっとあなたを愛してる
    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
    4、さんかく
    5、ノルウェイの森
    次点、乱暴と待機


2009年映画ベスト10
    3、リミッツ・オブ・コントロール
    4、あの日、欲望の大地で
    5、人生に乾杯!
    6、ウェディング・ベルを鳴らせ!
    7、チェンジリング
    8、ロルナの祈り
    9、レスラー
    10、夏時間の庭

<日本映画>
    1、ディア・ドクター
    2、空気人形
    3、ウルトラミラクルラブストーリー
    4、インスタント沼
    5、ノン子36歳(家事手伝い)
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