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「そらのレストラン」深川栄洋

そら
(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

2か月も映画館で映画を観ていなかった。だから今年1作目の映画レビューである。映画ブログなのに、なんともなさけない。

さて、この「そらのレストラン」は、「しあわせのパン」、「ぶどうのなみだ」に続いて、北海道の食の映画3作目である。いずれも北海道の大泉洋が所属するプロダクション、クリエイティブオフィスキューの企画・製作映画である。3作とも大泉洋主演であり、北海道小麦を使ったパン、北海道のワイナリーに続いて、今度は道南・瀬棚町で自然派農業をやっている生産者たちをモデル(「やまの会」)にした、海のミネラルを含んだ草をたっぷり食べで放牧酪農で育った牛のチーズ、有機野菜、羊牧場などが食のテーマとしてある。前2作は、三島有紀子監督であったが、今作は深川栄洋監督。どういう事情だったのか分からないが、よりシンプルなつくりになっている。3作ともファンタジー映画だ。

北海道の美しい自然と大地、そして食、命のつながり。食と命、自然への感謝とそこで生きる人間のささやかな営み。幸福感にあふれた食を囲む姿は、悲劇にもサスペンスにも暴力的活劇にもなりずらい。ファンタジー的要素がどうしても入り込まざるを得ない気がする。やや前2作と比べると、ファンタジー色は薄まったような気もするが、UFOを呼び込む踊りなども描かれ、現実の厳しさより、夢のようなふわふわ感は、この映画でもある。美味しい食事と幸せな家族や仲間、そして美しい大地があれば、もうそれだけで幸福なのだから、そこからよっぽどの事件でも起きない限り、劇的な展開にはなりずらい。悪や暴力、毒が描きずらい。劇的な要素としては、「死」しかない。この映画では、仲間であり、師匠である男の死。これだけが唯一、劇的な要素である。

ホットミルク、ごつごつした野菜や甘いトマト、そして羊の香りがちゃんとあるマトンのお肉、そして美味しいチーズが何よりも味わいたくなる映画である。北海道の自然に囲まれながら。もうそれだけで、十分なのかもしれないが、映画としては、物語に意外性がなく、語り過ぎなところも多く、面白味に欠ける。劇的な要素が入れずらい以上、ほんわかと食と命の大切さを感じればそれでいいのかもしれないが、やはり物足りない。

「死」は、そこで終わりではなく、つないでいくもの。羊の命も、牛の命も、師匠の命も。次へ次へとつながり、つないでいく。そのことを忘れてはいけない。そのつながりを教えてくれるのが、自然であり、「場」であり、家族であり、仲間である。食と出会うことによって、人生が変わることがある。食は人生を支える。おいしい「食」を囲む幸せそうな人々の笑顔を見ながら、自らの「食」のあり方を考えてしまう。


製作年:2018年
製作国:日本
配給:東京テアトル
上映時間:126分
監督:深川栄洋
脚本:深川栄洋、土城温美
企画‣製作:伊藤亜由美
プロデュース:森谷雄
音楽:平井真美子
主題歌:スカート
キャスト:大泉洋、本上まなみ、岡田将生、マキタスポーツ、高橋努、石崎ひゅーい、眞島秀和、安藤玉恵、庄野凛、鈴井貴之、風吹ジュン、小日向文世

☆☆☆3
(ソ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : 人生 家族 ☆☆☆3

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ヒデヨシ

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映画ベスト10 2009~2017年
2018年ベスト10
<洋画>
    「スリー・ビルボード」
    「正しい日、間違えた日」(2015)
    「希望のかなた」
    「顔たち、ところどころ」
    「ラブレス」

<日本映画>
    「万引き家族」
    「寝ても覚めても」
    「きみの鳥はうたえる」
    「モリがいる場所」
    「カメラを止めるな」


2017年ベスト10
<洋画>
    「パターソン」
    「動くな!死ね!甦れ!」(1989)
    「誰のせいでもない」
    「ありがとう、トニー・エルドマン」
    「オン・ザ・ミルキー・ロード」
    「パーソナル・ショッパー」
    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
    「マリアンヌ」
    「婚約者の友人」
    「セールスマン」

<日本映画>
    「散歩する侵略者
/予兆 散歩する侵略者」
    「三度目の殺人」
    「南瓜とマヨネーズ」
    「光(大森立嗣)」
    「息の跡」
    次点「彼女がその名を知らない鳥たち」
    次点「幼な子われらに生まれ」
    次点「バンコクナイツ」


2016年ベスト10
<洋画>
    ダゲレオタイプの女
    マイ・ファニー・レディ
    キャロル
    シング・ストリート 未来へのうた
    リザとキツネと恋する死者たち
    グッバイ・サマー
    サウルの息子
    マジカル・ガール
    ブリッジ・オブ・スパイ
    手紙は憶えている
<日本映画>
    淵に立つ
    クリーピー 偽りの隣人
    海よりもまだ深く
    ふきげんな過去
    SCOOP!
    永い言い訳
    オーバー・フェンス
    ディストラクション・ベイビーズ
    葛城事件
    湯を沸かすほどに熱い愛
    次点この世界の片隅に


2015年ベスト10
<洋画>
    やさしい女
    さよなら人類
    さらば、愛の言葉よ
    毛皮にヴィーナス
    雪の轍
    愛して飲んで歌って
    サンドラの週末
    サイの季節
    インヒアレント・ヴァイス
    ソニはご機嫌ななめ

<日本映画>
    海街dairy
    岸辺の旅
    FOUJITA
    百円の恋
    この国の空


2014年ベスト10
<洋画>
    エレニの帰郷
    グランド・ブタペスト・ホテル
    罪の手ざわり
    ウルフ・オブ・ウォールストリート
    ジャージー・ボーイズ
    インサイド・ルーウィン・デイヴィス
    6才のボクが、大人になるまで。
    フランシス・ハ
    ウォールフラワー
    ある過去の行方

    <日本映画>
    そこのみにて光輝く
    ニシノユキヒコの恋と冒険
    紙の月
    Sventh Code
    私の男


      2013年映画ベスト5
<洋画>
    1、「愛、アムール」
    2、「ホーリー・モーターズ」
    3、「オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ」
    4、「いとしきエブリデイ」
    5、「ムーンライズ・キングダム」
    ※番外「カリフォルニア・ドールズ」(1981年)

    <日本映画>
    1、「共喰い」
    2、「さよなら渓谷」
    3、「恋の渦」
    4、「リアル 完全なる首長竜の日」
    5、「Playback」(2012年)


    2012年映画ベスト10
<洋画>
    2、「少年と自転車」
    3、「Pina ピナ・バウシュ 躍り続けるいのち」
    4、「ライク・サムワン・イン・ラブ」
    5、「きっと ここが帰る場所」
    6、「ドライヴ」
    7、「風にそよぐ草」
    8、「恋のロンドン狂騒曲」
    9、「おとなのけんか」
    10、「別離」
    次点 「裏切りのサーカス」
番外
    「永遠の僕たち」
    「J・エドガー」
    「家族の庭」

    3、「演劇1&2」
    4、「夢売るふたり」
    5、「アウトレイジビヨンド」
    番外 「ヒミズ」


2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
    7、クレイジー・ハート
    8、ずっとあなたを愛してる
    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
    4、さんかく
    5、ノルウェイの森
    次点、乱暴と待機


2009年映画ベスト10
    3、リミッツ・オブ・コントロール
    4、あの日、欲望の大地で
    5、人生に乾杯!
    6、ウェディング・ベルを鳴らせ!
    7、チェンジリング
    8、ロルナの祈り
    9、レスラー
    10、夏時間の庭

<日本映画>
    1、ディア・ドクター
    2、空気人形
    3、ウルトラミラクルラブストーリー
    4、インスタント沼
    5、ノン子36歳(家事手伝い)
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