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「レディ・プレイヤー1」スティーブン・スピルバーグ

まさにゲームそのものが人生、VRの世界が現実を凌駕し、仮想現実こそ人生となる2045年の近未来。オアシスというVRの世界で冒険アクション、恋と友情が繰り広げられ、それが現実となる。リアルな現実にこそ、真実があるという物語ではあるのだが、VRがリアルで、現実が借り物のような転倒した世界が描かれる。貧富の格差が広がり、町は荒廃し、スクラップになった車やコンテナでの荒んだ生活。豊かな美しい地球はどこにもない。管理された近未来空間と荒廃した町。緑や水、美しき自然は失われ、現実の魅力はどこにもない。手に汗握る冒険と夢はすべてVRの世界にしかない。

VRのゴーグルをかけて、架空の世界を見ながら手足だけを動かす現実は滑稽でしかない。そんな近未来が本当に来るのかわからないが、世界が単純化される恐ろしさを感じる。VRの世界は、ゲームの世界であり、ランキングで人間たちは序列化される。勝つか負けるか、熟練者、ゲーム勝者が英雄となる。そして、このVR世界を作ったクリエイター=創造主が神のように君臨し、そのクリエイターが仕掛けた謎の鍵を、プレイヤーたちは必死になって探す。人々はまさに創造主によって操られるままに、悪と戦い、勝利を目指す単純なゲームが社会=世界となる。

アメリカ映画お決まりの恋と冒険、そして友情が描かれるのだが、VRの世界ではなく、リアルな現実の優位性、大事さがあらためて確認され、映画は終わる。世界はそんなに単純でもなければ、序列化もできない多様性に満ちたもの。おばさんの死もVRでの戦いも、痛みを伴わない作り物めいたものとしてしか感じられない。戻れない過去への郷愁、子供のころ単純なゲームに夢中になったあの頃はもう来ない。

ゲームをしているような感覚で映画を見る体験。前に進むばかりではなく、後ろに向かえとか、個人の勝利ではなく、チームや絆が強調され、他者に共感せよ、想像せよとかのメッセージはパターン化されたものであり、新鮮味はない。どちらかというと映画オタク、ゲームオタク的なオモチャ箱のような映画だ。


原題:Ready Player One
製作年:2018年
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:140分
監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:アーネスト・クライン
脚本:ザック・ペン、アーネスト・クライン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
美術:アダム・ストックハウゼン
音楽:アラン・シルベス
キャスト:タイ・シェリダン、オリビア・クック、ベン・メンデルソーン、リナ・ウェイス、サイモン・ペッグ、マーク・ライランス

☆☆☆3
(レ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : SF 冒険 アクション ☆☆☆3

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非公開コメント

全く同感です

しばらくはついていこうとしたんですが、ゲンナリ度数が中盤以降加速度的に高まり…(笑)

onscreenさん、いつもコメントありがとうございます。

VR空間がいずれ日時生活にどんどん入り込んでくるのか、近未来を考える上で参考にはなりましたが、映画としてはいかにも単純で、興醒めな感じはありましたね。
プロフィール

ヒデヨシ

Author:ヒデヨシ
札幌でテレビの仕事をしている
オヤジです。
映画にまつわる雑文です。
2006年からの映画レビュー。
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映画ベスト10 2009~2017年
2018年ベスト10
<洋画>
    「スリー・ビルボード」
    「正しい日、間違えた日」(2015)
    「希望のかなた」
    「顔たち、ところどころ」
    「ラブレス」

<日本映画>
    「万引き家族」
    「寝ても覚めても」
    「きみの鳥はうたえる」
    「モリがいる場所」
    「カメラを止めるな」


2017年ベスト10
<洋画>
    「パターソン」
    「動くな!死ね!甦れ!」(1989)
    「誰のせいでもない」
    「ありがとう、トニー・エルドマン」
    「オン・ザ・ミルキー・ロード」
    「パーソナル・ショッパー」
    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
    「マリアンヌ」
    「婚約者の友人」
    「セールスマン」

<日本映画>
    「散歩する侵略者
/予兆 散歩する侵略者」
    「三度目の殺人」
    「南瓜とマヨネーズ」
    「光(大森立嗣)」
    「息の跡」
    次点「彼女がその名を知らない鳥たち」
    次点「幼な子われらに生まれ」
    次点「バンコクナイツ」


2016年ベスト10
<洋画>
    ダゲレオタイプの女
    マイ・ファニー・レディ
    キャロル
    シング・ストリート 未来へのうた
    リザとキツネと恋する死者たち
    グッバイ・サマー
    サウルの息子
    マジカル・ガール
    ブリッジ・オブ・スパイ
    手紙は憶えている
<日本映画>
    淵に立つ
    クリーピー 偽りの隣人
    海よりもまだ深く
    ふきげんな過去
    SCOOP!
    永い言い訳
    オーバー・フェンス
    ディストラクション・ベイビーズ
    葛城事件
    湯を沸かすほどに熱い愛
    次点この世界の片隅に


2015年ベスト10
<洋画>
    やさしい女
    さよなら人類
    さらば、愛の言葉よ
    毛皮にヴィーナス
    雪の轍
    愛して飲んで歌って
    サンドラの週末
    サイの季節
    インヒアレント・ヴァイス
    ソニはご機嫌ななめ

<日本映画>
    海街dairy
    岸辺の旅
    FOUJITA
    百円の恋
    この国の空


2014年ベスト10
<洋画>
    エレニの帰郷
    グランド・ブタペスト・ホテル
    罪の手ざわり
    ウルフ・オブ・ウォールストリート
    ジャージー・ボーイズ
    インサイド・ルーウィン・デイヴィス
    6才のボクが、大人になるまで。
    フランシス・ハ
    ウォールフラワー
    ある過去の行方

    <日本映画>
    そこのみにて光輝く
    ニシノユキヒコの恋と冒険
    紙の月
    Sventh Code
    私の男


      2013年映画ベスト5
<洋画>
    1、「愛、アムール」
    2、「ホーリー・モーターズ」
    3、「オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ」
    4、「いとしきエブリデイ」
    5、「ムーンライズ・キングダム」
    ※番外「カリフォルニア・ドールズ」(1981年)

    <日本映画>
    1、「共喰い」
    2、「さよなら渓谷」
    3、「恋の渦」
    4、「リアル 完全なる首長竜の日」
    5、「Playback」(2012年)


    2012年映画ベスト10
<洋画>
    2、「少年と自転車」
    3、「Pina ピナ・バウシュ 躍り続けるいのち」
    4、「ライク・サムワン・イン・ラブ」
    5、「きっと ここが帰る場所」
    6、「ドライヴ」
    7、「風にそよぐ草」
    8、「恋のロンドン狂騒曲」
    9、「おとなのけんか」
    10、「別離」
    次点 「裏切りのサーカス」
番外
    「永遠の僕たち」
    「J・エドガー」
    「家族の庭」

    3、「演劇1&2」
    4、「夢売るふたり」
    5、「アウトレイジビヨンド」
    番外 「ヒミズ」


2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
    7、クレイジー・ハート
    8、ずっとあなたを愛してる
    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
    4、さんかく
    5、ノルウェイの森
    次点、乱暴と待機


2009年映画ベスト10
    3、リミッツ・オブ・コントロール
    4、あの日、欲望の大地で
    5、人生に乾杯!
    6、ウェディング・ベルを鳴らせ!
    7、チェンジリング
    8、ロルナの祈り
    9、レスラー
    10、夏時間の庭

<日本映画>
    1、ディア・ドクター
    2、空気人形
    3、ウルトラミラクルラブストーリー
    4、インスタント沼
    5、ノン子36歳(家事手伝い)
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