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「ここは退屈迎えに来て」 廣木隆一

録画していた日本映画を見る。2018年の廣木隆一監督の作品だ。廣木監督らしい長回しとロングショット。車の中での会話をフロント越しに外から二人をとらえ続ける映像に会話がずっと聞こえてくる。顔のアップは極力控えられている。時代が次々と変わり、出てくる登場人物たちのそれぞれのエピソードがオムニバスのようにバラバラなので、ややとっつきずらい。人間関係が理解できないまま映画は進む。

主旋律はどうやら、雑誌ライターの橋本愛が東京から故郷(富山)に帰ってきて、地元にずっといた同級生(柳ゆり菜)と高校生の時の憧れの先輩、椎名くん(成田凌)に会いにいくというものだ。カメラマンの同行者(村上淳)は、そんな彼女たちに面白がってついていき、カメラで記録し続ける客観的傍観者だ。その何年ぶりかの再会話以外に、何人かの登場人物が登場するのだが、最初はそれぞれの関係が分からず、別々のエピソードとして進むのだ。それが、最後はバラバラな人間関係がつながっていくというオチで終わっている。高校生時代の憧れの男の子・椎名くんを取り巻く女の子たちと、同じように同性で憧れている新保くん(渡辺大知)の秘かな苦悩。椎名くんの彼女だった門脇麦は、椎名くんが高校を卒業していなくなった空白を別の男で埋めようとして、虚しさを感じている。早くにモデルとなって東京で活躍するも、故郷に戻ってきてヤリマン女とネットで噂され、パッとしない女の子(内田理央)。その彼女の愚痴をいつもファミレスで聞いているマイペースの親友・岸井ゆきの。さらに椎名くんの妹は、憧れの先生(瀧内公美)の家で勉強しながら、親に反対されながらも東京行きを夢見ている。援助交際でハゲおやじ(マキタスポーツ)とホテルに行く女子高生も出てくる。まさに地方都市の若い男女の群像劇だ。

椎名くんという華やかなイケメン男子を中心につながる高校生たち、彼らとは無関係に生きるそれぞれの高校生たち。誰もが何か(東京とか好きな先輩や親友)に憧れ、誰でもないアイデンティティーの不安を抱え、嫉妬や羨望や孤独と格闘し、「何者かになるのが私の夢」と語る橋本愛のように、自分を探し求めている。青春期特有のそんな疎ましさやせつなさ、美しさが、高校時代の映像に表現されている。ゲームセンターや学校のプールや教室の廊下や部活の校庭。それにしても夏の学校のプールという場所は、あらゆる青春映画で聖域のようにして登場するとっておきの舞台装置だとつくづく思う。この映画でのプールでみんながふざけあう俯瞰の映像はとても印象的だ。久しぶりに訪れた校庭で「みんな元気~!」と橋本愛が叫ぶ場面も良かった。それぞれのどうしようもない思いがロングショットで効果的に描かれている。

郊外型の店が並んでいる地方都市の車窓移動の道の風景は、どこでも同じ均一な風景であり、誰もが「退屈だ」と感じるであろう。しかし、「ここではないどこか」に憧れつつも、そんな場所はどこにもなく、「誰でもない誰か」になりたくても、誰もが「誰か」になれず、中途半端な自分を抱えながら生きている。そんな不満を抱えながらも、「ティファニーで朝食を」のホリー・ゴライトリーのように、今ある「人生を楽しむこと」しかないのかもしれない。ラストみんなが歌っていたのは、フジファブリックの歌らしいのだが、知らない曲なのでなんだかわからなかった。歌で自分を励ましながら、前に進んでいくしかないのだ。

製作年 2018年
製作国 日本
配給 KADOKAWA
上映時間 98分
監督 廣木隆一
プロデューサー 宇田川寧 、 田口雄介 、 杉山剛
原作 山内マリコ
脚本 櫻井智也
撮影 水口智之
音楽 フジファブリック
音楽プロデューサー 安井輝
主題歌 フジファブリック
キャスト:橋本愛、門脇麦、成田凌、渡辺大知、岸井ゆきの、内田理央、柳ゆり菜、亀田侑樹、瀧内公美、片山友希、木崎絹子、マキタスポーツ、村上淳

☆☆☆☆4
(コ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 青春 ☆☆☆☆4

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ヒデヨシ

Author:ヒデヨシ
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2019年ベスト5
    「ジョーカー」
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          2014年ベスト10
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            エレニの帰郷
            グランド・ブタペスト・ホテル
            罪の手ざわり
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            フランシス・ハ
            ウォールフラワー
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            <日本映画>
            そこのみにて光輝く
            ニシノユキヒコの恋と冒険
            紙の月
            Sventh Code
            私の男


              2013年映画ベスト5
          <洋画>
            1、「愛、アムール」
            2、「ホーリー・モーターズ」
            3、「オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ」
            4、「いとしきエブリデイ」
            5、「ムーンライズ・キングダム」
            ※番外「カリフォルニア・ドールズ」(1981年)

            <日本映画>
            1、「共喰い」
            2、「さよなら渓谷」
            3、「恋の渦」
            4、「リアル 完全なる首長竜の日」
            5、「Playback」(2012年)


            2012年映画ベスト10
          <洋画>
          2、「少年と自転車」
          3、「Pina ピナ・バウシュ 躍り続けるいのち」
          4、「ライク・サムワン・イン・ラブ」
          5、「きっと ここが帰る場所」
          6、「ドライヴ」
          7、「風にそよぐ草」
          8、「恋のロンドン狂騒曲」
          9、「おとなのけんか」
          10、「別離」
          次点 「裏切りのサーカス」
        番外
          「永遠の僕たち」
          「J・エドガー」
          「家族の庭」

        2、「かぞくのくに」
        3、「演劇1&2」
        4、「夢売るふたり」
        5、「アウトレイジビヨンド」
        番外 「ヒミズ」


      2011年映画ベスト10
      2,「愛の勝利を」
      3,「ブルーバレンタイン」
      4,「愛する人」
      5,「クリスマス・ストーリー」
      6,「トゥルー・グリット」
      7,「SOMEWHERE」
      8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
      9,「エリックを探して」
      10,「シリアスマン」
      次点,「エッセンシャル・キリング」

    2,「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」
    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
    4、アンナと過ごした4日間(2008)
    5、Babble/バブル(2005)
    6、パリ20区、僕たちのクラス
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    9、千年の祈り
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    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
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    次点、乱暴と待機


2009年映画ベスト10
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    10、夏時間の庭

<日本映画>
    1、ディア・ドクター
    2、空気人形
    3、ウルトラミラクルラブストーリー
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    5、ノン子36歳(家事手伝い)
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