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「ドリーマーズ」ベルナルド・ベルドルッチ

1968年のパリ、5月革命で学生のデモ隊が騒いでいた。シネマテーク・フランセーズの創立者アンリ・ラングロワが更迭されたことに映画監督や俳優たちが抗議の声を上げ、シネマテーク擁護委員会が結成され、その決定が覆されたという時代背景がある。ジャン・ピエール・レオもデモで演説している様子が映し出される。

シネフィルと言える映画マニアの一卵双生児の姉イザベル(エバ・グリーン)と弟テオ(ルイ・ガレル)、そしてアメリカ人青年マシュー(マイケル・ピット)がそんなラングロワ事件の騒ぎの中で出会う。そして親が旅行に行って不在となった双子のアパートの部屋で、3人は映画ゴッコ遊びをして興じる。そして、3人の男女の悪ふざけは次第に的にエスカレートしていく。

いろいろな映画な何度も引用される。ルーブル美術館を走り抜けるゴダールの『はなればなれに』の劇中の3人を真似する場面、『勝手にしやがれ』のジーン・セバーグが「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」と言いながら新聞を売るシーンも挿入される。そのほか、グレタ・ガルボの「クリスチナ女王」、フレッド・アステア、ニコラス・レイ、バスター・キートン、そしてロベール・ブレッソンの『少女ムシェット』のぐるぐる回って川に落ちる悲しきラストシーンまで、映画へのはふんだんに表現される。そのほか引用映画は、サミュエル・フラー『ショック集団』、ハワード・ホークス『暗黒街の顔役』、チャップリン『街の灯』、『フリークス』、『トップ・ハット』などだ。また、ジャニス・ジョプリンやジミ・ヘンドリックス、ドアーズ、ボブ・ディラン、そしてエディット・ピアフと時代を象徴する音楽も次々と流れてくる。

物語は一人の人間の片割れのような双生児の男女の近親相姦的に3人目のアメリカ人が的に介入することで、3人の関係は嫉妬を伴った複雑なものとなる。一度は離れていくかに思えた双子の姉弟だが、嫉妬が再び双子のを観念的に昇華させる。それはラストの革命への政治参加への態度とも重なり合う。当時の毛沢東主義への傾倒が部屋の中でも表現され、テオとマシューの政治論争もあるが、3人は閉鎖的空間での的遊戯に行き詰まりイザベルは自殺を試みる。しかし、学生の投石で窓ガラスが割れ、3人は部屋から外へ、町へと出ていく。そしてイザベルとテオは火炎瓶を投げ、デモ隊の闘争に過激に参加していく。一方、マシューは一人だけ二人に背を向けて去っていく。青春期の危うさともろさ。観念と的エロス。それは政治的観念的革命の挫折を象徴しているような終わり方でもある。死は明示されず、痛切で劇的な展開はない。  

ベルナルド・ベルドルッチらしい耽美的な映画である。ルイ・ガレルの無垢さと惜しげもなく裸体をさらすエバ・グリーンの美しさ。全裸で室内でふざけ合うシーンがほとんどであり、『ラストタンゴ・イン・パリ』にも通じるが、1968年という革命とが交錯したあの時代へのオマージュのようにも感じられる。


2003年製作/117分/R15+
イギリス・フランス・イタリア合作
原題:The Dreamers
配給:日本ヘラルド映画 

監督:ベルナルド・ベルべドルッチ
原作・脚本:ギルバート・アデア
撮影:ファビオ・チャンケッティ
キャスト:マイケル・ピット、エバ・グリーン、ルイ・ガレル
 
☆☆☆☆4
(ト)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 青春 社会 ☆☆☆☆4

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            2012年映画ベスト10
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          5、「きっと ここが帰る場所」
          6、「ドライヴ」
          7、「風にそよぐ草」
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