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「タクシー運転手  約束は海を越えて」チャン・フン

実話の映画化である。1980年5月、韓国の光州で起きた軍による民衆蜂起への大弾圧事件、光州事件が描かれている。1979年10月26日、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺され、18年にわたる軍事独裁政権が終わった。しかし軍部がクーデターで事実上、政権の実権を握ると、軍事政権の復活を警戒する学生らの民主化デモは韓国全土に拡大した。軍の実権を握っていた全斗煥は、戒厳令を発令し、金大中や金泳三ら民主的政治家を連行した。そんな時、光州事件は起きた。南部の光州市で蜂起した学生や一般市民を弾圧しようと軍が次々と銃を向けたのだ。韓国軍も民衆も同じ韓国の国家を歌いながら、衝突したそうだ。韓国国旗を掲げつつ。そんな蜂起する市民たちを応援したのが地元のタクシー運転手たちだったそうだ。

映画はそんな政治的な話をまったく感じさせないせこいダメ親父のタクシー運転手をソン・ガンホが演じ、能天気な鼻歌まじりの運転と町中で騒ぐデモの学生たちへの悪態から映画は始まる。しっかり者の小さな娘と二人暮らし。家主の息子に娘がいじめられても、家賃を滞納していて文句も言えない情けないオヤジ。外国人を光州に連れて行って戻ってくれば大金が手に入るという話を聞いて、欲に目がくらんで、他の運転手のお客を盗むのだ。それがドイツ人記者だった。

光州に着いてからの民衆と軍の攻防は全く別の映画だ。ジャーナリズムとは?自由とは?国家とは?なぜ同じ国民同士でこれほど残酷な行為が行われるのか?政治的衝突がシリアスに描かれ、戦いのために命を懸ける市民たち、同志の絆や友情が描かれる。

1980年でまだこんなことが起きていた韓国の現実をあらためて認識しつつ、韓国軍の非人道性をかなり一方的に描かれている。極端な「正義」の名の下に盲目に従う人間の愚かさ、怖さを感じた。言うまでもなく、ソン・ガンホという役者がいなかったら、これほど感動的な映画になっていなかっただろう。圧倒的な存在感だ。恐るべし、ソン・ガンホである。


2017年製作/137分/G/韓国
原題:A Taxi Driver
配給:クロックワークス
監督:チャン・フン
脚本:オム・ユナ
撮影:コ・ナクソン
音楽:チョ・ヨンウク
キャスト:ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・へジン、リュ・ジョンヨル

☆☆☆☆4
(タ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 社会 暴力 実話 ☆☆☆☆4

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ヒデヨシ

Author:ヒデヨシ
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