「ライフ・イズ・ミラクル」エミール・クストリッツァ

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』が垂直の上下運動だったとしたら、これはどこまでの横へ、トロッコに乗ってどこまでも行きたくなる水平運動の映画だ。国境を越えて。

旧ユーゴスラビアで起きた戦争、捕虜と恋に落ちてしまったセルビア人男性の実話が基になっている物語だいう。しかし、クストリッツァの映画はいつものように荒唐無稽。今回は、熊や犬や猫や鶏やロバなどの動物たちが大活躍。線路で動かなくなる失恋して涙を流しているロバは、主人公の命まで救う。動物と人間たちがいつものように同じ地平で競演している。熊は明らかにクロアチア人の寓意だ。

ボスニアの村に住むセルビア人男性は、鉄道建設のための技師。家の中に鉄道模型を作って、国境を越えて線路をめぐらし、鉄道を走らせたいと思っている。ボスニアの地球の裏側、オーストラリアに好きになった捕虜のムスリム人の女と逃げて、夢の大陸で線路をはりめぐらせて、列車を走らせたい。どこまでもどこまでも自由に。

この映画で線路の上を様々なものが走る。車がトロッコが人間がロバが。線路は戦争のためにも使われるし、逃げるためにも使われる。目的によって正反対に作用する。また、時には線路に横たわって死ぬためにも使われる。

それでも、横へ横へとどこまでも行きたいと思う欲望は、人間の根源的な欲望なのかもしれない。民族や宗教や国などの違いを超えて、境界を越えて。

トロッコに乗って、自由と愛を手にして。それでなければ、ベッドで幻想の空を飛ぶしか道はないのか?

トロッコが映画の中で美しい移動手段として登場したのは『小さな恋のメロディ』以来かもしれない。トロッコに乗って、漕ぎながらどこまでも行きたくなる映画だった。

☆☆☆☆☆☆6

(ラ)
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tag : 人生 ☆☆☆☆☆☆6

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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