「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」

『タイタニック』の純ロマンを皮肉にも同じカップルでぶち壊して見せたサム・メンデス。現代のアメリカ郊外の家族崩壊の現実を鋭く描いた『アメリカン・ビューティー』に続いて、今度は1950年代の郊外の中流家庭の夫婦の現実と夢の亀裂を描いてみせた。よっぽど夢物語の嫌いなリアリストという訳か。

ほとんど口喧嘩の罵りあいで終始する本作は、ケイト・ウィンスレットの演技や精神病患者マイケル・シャノンの演技は注目に値するが、それでも共感度が低く、自業自得の二人に、全体の切れ味はいま一つの印象。

「レボリューショナル・ロード」は空疎な響きとなり、美しい郊外の家の内実は、空虚な絶望が支配している。まだ男と女の役割がしっかりとあった時代の女性の不幸をなぜ今さら描くのか?今の時代なら彼女はやすやすと、自分から家を出ていたはずだ。

「自分たちは特別だ」という妄想を捨てきれないまま、女優の夢や子供を産むことによって奪われた自由への不満を、この郊外の美しい家の中で、彼女は夫へとぶつける。彼女のくすぶり続ける不満を受け止められない夫は、「自分は正しい」とばかり主張し、浮気にそのはけ口を求める。

現実に向き合えない二人の溝は深まりつつある中、「パリへ行こう」という妻の突然の提案。パリに行けばすべてが解決するかのように、今の現実からの逃走を提案し、驚いたことに夫もまたそんな妻に同調する。現実の絶望と虚無から逃れるために、それはあまりにも幼稚な逃避。かくして、二人の妄想は危うい束の間の夢物語となり、夫婦は同調したかに見えるが、現実が二人の夢物語を打ちのめす。

皮肉にも精神を病んだマイケル・シャノンだけが、妻の絶望と虚無を理解しつつ、最後に厳しい一言で彼女を打ちのめす。男はささやかなプライドを大事にし、男の幼稚な暴力性は、言ってはならない一言をも暴発させ、亀裂は決定的となる。それでも、やっていけるとおめでたくも信じる男と元には戻れない女。

ラストの老夫婦のやりとりに、皮肉が込められている。くだらない妻の言葉に補聴器のボリュームを下げる夫。言わずにおくこと、聞かないふりをすること。そうでもしないと、男と女は一緒に暮らせないとでも言うように。

年度: 2008
国: アメリカ=イギリス
公開日: 2009/1/24
ディカプリオ&ウィンスレット―映画史に輝く永遠のカップル、11年ぶりの共演

☆☆☆3
(レ)
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テーマ : アメリカ映画
ジャンル : 映画

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