「エンジェル」フランソワ・オゾン

フランソワ・オゾンは意地悪です。特に女性に対する見方がシビアで辛辣です。それは彼がゲイだからなのかはよく分かりません。そして、彼は現実と幻想の境界を曖昧にします。登場人物は、幻想の中を彷徨い続けるのです。

この映画は、1900年代初頭のイギリスで現実から離れ、妄想の世界だけを見続け作家となって成功した女(ラモーラ・ガライ)の一代記です。
自信過剰で傲慢で鼻持ちならない夢想癖の女が、作家として一躍大成功を収める前半。観客は、呆気のとられながら嫌な女だなぁと思いながら見ていると、後半は一転、彼女の虚構に痛ましさまで感じるほど。美男子で女好きでシニカルな画家を好きになってからの転落の人生。派手な色のドレスを身に纏って彼の前に現れ、夢そのままに思いと遂げて結婚するも、子供の頃の夢の館パラダイスは、空虚な夢の残骸の館となり、彼と彼女を閉じ込めます。派手な色のドレスから、館の中での後半は、白いシンプルな服で目を窪ませて彼のために売れる小説を書き続けるも、男に裏切られるのです。母の死も彼の死も虚構で塗り固める姿は哀れでさえあります。

古きよきハリウッド映画へのオマージュのように、旅シーンは合成処理され、映画の虚構が強調されます。彼女の人生は、夢そのものであったかのように、すべては虚構の中に消え失せるのです。

愛もまた虚構です。思い込みこそが愛であることは、誰もが知っていることですが、その幻想としての愛が自己完結しているのです。まぁ、自分勝手な愛し方しかできなかった女の悲劇というやつか。その幻想としての愛は、共通の夢にはならなかった…。そのことを辛辣に、冷徹に、オゾンは描いているのですね。シャーロット・ランプリングのいつものように冷徹なまなざしは、オゾンの分身であるかのようです。虚構の幻想は、現実を夢の世界にも変えるし、自らの夢の呪縛に空虚な抜け殻にもなってしまうということでしょうか。

出演: ロモーラ・ガライ, サム・ニール, シャーロット・ランプリング, ルーシー・ラッセル, マイケル・ファスベンダー
監督: フランソワ・オゾン
鬼才、フランソワ・オゾンが贈るメロドラマ。貧しい家庭に生まれ、上流階級に憧れる少女・エンジェル。文才が認められ、16歳で念願の作家デビューを果たした彼女は、ついに夢にまで見た華やかな暮らしを手に入れるのだが…。


☆☆☆☆4

(エ)
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テーマ : ヨーロッパ映画
ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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