『41歳からの哲学』池田晶子

週刊誌の連載コラムなので、ほとんど同じようなことしか書いていない。様々な世事に照らし合わせながら、彼女が語っているのは、人間が観念の動物であるという事である。


「死」は観念であり、誰も体験したりできなし、死後の世界は誰も分からない。何かのために死ぬことも、死んで楽になるという考えも、全て人間の勝手な思い込み。

存在しているのは常に「今」だけ。死は先にあるものではない。今ここにあるものだ。死によって生なのであれば、生としての今ここに、死はまさにあるのではないか。

信じるのではなく、考えるのこと。考えるということは、あらゆる思い込み信じ込みすなわち観念を、その根底から粉砕することである。「あの世」も「この世」も観念。科学でわかるというのも思い込みに過ぎない。

わからないことを、わかったように思いこむのが観念であり、死もまたその観念。わからないことを、わからないとして認め、自分を超えたものがあることを認め、その生きていることの存在の不思議を、その当たり前の不思議を考えよう


まぁ、そんなようなことである。理屈としてはとてもよくわかるのだ。でも彼女は変人だなぁ~と思う。パソコンもネットも携帯電話もテレビも必要とせず、思索に一人でふけることこそ最大の喜びであったという。一人であることを恐れず、先のことなど不安がらずに、「今」を生きようとした、とても強い人なのだ。

恐れや不安や思い込みや観念に振り回される人間の弱さに共感しないのだ。その人間の馬鹿さ加減にどちらかといえば呆れているのだ。分からない先のことにお金をかける保険という思想が理解できないという。

人間のそんな弱さをいとおしく思わないのだ。どこかで変だと。理屈の上では、馬鹿らしいのだけれど、それが人間じゃないかと思う。そのことに少し違和感を感じた。言ってしまえば、文学的ではなく、透徹した哲学的な人だったのだろう。

(よ)
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