『神楽感覚~環太平洋モンゴロイドユニットの音楽世界』細野晴臣・鎌田東二著

細野晴臣・鎌田東二著『神楽感覚~環太平洋モンゴロイドユニットの音楽世界』という本を読む。

細野さんたちは、1997年に伊勢の猿田彦神社で奉納演奏をするようになってから、「細野晴臣&環太平洋モンゴロイドユニット」として、観客のいない場所で自然やその背後にある「見えないもの」に向かって即興演奏をしてきた。その体験について、対談などを通して12年間を振り返っている本です。

この本を読んで、音楽ってなんだろう。芸能ってなんだろう、といろいろ考えさせられた。人前で演奏するのが当たり前の時代、自然とか神聖な場所とか神様に向けて演奏するって、どういうことなんだろう。表現ってなんだろう。世界や自然や宇宙との交感…?


そもそも日本において神楽とは、アメノウズメノミコトがストリップしてみんな神様が大笑いしたという有名な古事記のエピソードが原点だと言われている。

以下 本のなかの鎌田氏の引用

アメノウズメノミコトが岩戸の前で手に笹をもって、神懸かりになって神楽をやったときに、その衣装が剥げて、胸乳あらわにし、ホトをあらわにして裸になるわけです。それはまさに素になるということ。一番裸な楽な状態。そういう裸の状態に神楽を通じてどうやってなるか。もし裸になることができたなら、ほんとうに心の底から、身体の一番芯の所から愉快さが湧き出てくるはずだ。

それが神々が言った
「あはれ。あなおもしろ。あなたのし。あなさやけ。をけ。」

岩戸の前で神々が口々に叫んだ言葉。
「あはれ」とは、天が晴れて光が差すこと。つまり「天晴れ(あっぱれ)」
「おもしろ」とは、光が差してきて顔の面が白くなる。
「たのし」とは、手が伸びて自然に動くこと。「手伸し」
「さやけ」とは、草木がなびくこと。
「をけ」とは、一緒になって草花がふるふるとふるえること。


つまり、神楽=音楽の原点とは、そのように神様たちが愉快になったように、みんなが愉快になること。

アメノウズメノミコトのやったことは、俳優(わざおぎ)と言われ、演じることの原点とも言われている。
俳優(わざおぎ)=こっけいな動作をして歌い舞い、神や人を慰め楽しませること。また、それをする人。


細野氏は、シリアスな時代はお涙頂戴がもてはやされる、今の時代もっと笑いが必要だと言う。みんなが真面目過ぎる。犯罪者でさえも。赤塚不二夫の漫画のようないい加減さ、笑いが足りないのだ。そして、笑いというのは、シンプルに生きているだけでこみ上げてくるもの。存在そのものの自由さとでも言うのか、アメノウズメノミコトがストリップした時に神様が大笑いしたように。

細野氏がエジプトに行った時に、砂漠を裸足で歩いた時に笑ってしまったという。心の底から湧きあがってくる愉快さ。まじめ過ぎると抜け道がなく、同じ回路を堂々巡りしてしまう。そんな閉じた回路から抜けるために、心の底からの愉快さが必要だと。

細野氏は言う。
音楽はくゆらせると素晴らしい響きが出てくる。タバコみたいな感じ。ネイティブ・アメリカンの精霊や祖先の霊に向けての煙と近い、煙みたいな音楽をやりたいのだと。


音楽とは、そういう自然とか場とかに感応するものなのかもしれないと思うのです。そして誰もが愉快になれること。それは、時代をも変える力になったりするような気がします。

(か)
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