「once ダブリンの街角で」

先日見た「パリ、恋人たちの2日間」とは全く違うタイプの恋愛映画をDVDで見た。ダブリンに惹かれて。数年前、仕事で行ってとてもいい街だった思い出があるのだ。ダブリンの街角にはストリートミュージシャンがいっぱいいたっけ。

この映画はとてもやさしい幸せな気分にさせてくれる作品です。恋愛映画というより、ストリートミュージックものです。街角で出会った二人には、それぞれ別の相手がいて、それぞれ遠く離れていてお互いそれぞれ寂しさを感じています。その二人のお互いへの優しさや好意や思いやりやら愛情やらが、とてもシンプルに飾りなく素直に描かれているのです。自然光を生かした手持ちカメラで、大袈裟に作られた感じではなく、ナチュラルな二人の表情を捉えているのです。本当のプロのミュージシャンである二人を使っているだけに、音楽がとても気持ちのいい感じでこの映画の軸になっています。音楽で感じあい心を通わせていき、寄せ集めメンバーで朝方までスタジオで録音をした後に、海辺で過ごすシーンは、うらやましいくらいの解放感と幸せ感です。

僕は、ここにアイリッシュの優しさを感じました。「パリ、恋人たちの2日間」では、ストレートであからさまで、とことん突き詰めようとするフランス人の強さを見た気がしましたが、この映画では、相手の心の奥までズカズカと土足で入らない優しさ、リスペクトや思いやり・・・これは日本人の感性ととても近いものだと思ったのです。アイリッシュはケルトの民族。自然を愛し、家族思いの民族性は、アニミズム的世界観を持つ古来の日本人ととても近いと僕は以前から感じていました。そんな優しい距離感が、とことん突き詰めるフランス人や自己中心的なアメリカ人(すいません・・・かなり乱暴に括ってます)とは違うアイリッシュな世界観を感じるのは、極論でしょうか。まぁ、対照的な2つの恋愛映画を見て、なんか民族性を感じてみたのです。

そして、音楽について。
僕はUKロックとか詳しいほうじゃないのですが、こういうストリートから音楽が生まれる幸福な土壌があることをこの映画は描いています。

ヨーロッパとか行くととても強く感じるんだけれど、アイリッシュバーなんか行っても、音楽が自然と酒場に馴染んでいるんだよね。飲んだり食べたりしているうちに、自然と音楽が始まる雰囲気、これは日本ではもうありえない。かつて、ポーランドの片田舎に行ったときも、飲んだり食べたりしているうちに、誰かがギターやらバイオリンやらアコーディオンやら持ってきて、自然と歌が始まるのです。音楽が生きる楽しみとして、生活そのものと結びついている感じがしました。日本では、カラオケやライブハウスやコンサート会場という決められた場所でしか音楽はないのに、酒場で家で戸外で、自然と音楽が始まるのです。ポーランドでバイオリンを持って森へ行こうするおじいさんに「何をするんですか?」って聞いたら、「孫にバイオリンを森の中で聴かせてやるんだ」って言われ感動したことがありました。

話がすっかりそれちゃいましたが、そんな音楽が生活にあって、心を通わせられることに、とてもうらやましく感じ、強く惹かれてしまいます。
僕は何も音楽できないので、尚更かもしれません。
そんなことも考えたりした映画でした。

☆☆☆☆4

(タ)
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テーマ : ヨーロッパ映画
ジャンル : 映画

tag : 音楽

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

Author:Yasuo K  ( ヒデヨシ)
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映画にまつわる雑文です。
2006年からの映画レビュー。
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