「ニート」絲山秋子

絲山 秋子の短編を読んでいたら、突然、浣腸スカトロ変態男が登場して驚いた。かなりグロテスクで詳細な描写なのだ。最初から、そういう小説だと思って読んでいるとなんてことはないのだけれど、それまで読んでいたほかの短編は、そんな過激な描写もなく、セックス描写もないほうで、どちらかというと淡々と人との微妙な距離感を描いている短編集なのだ。

年下のニート男をなぜか気になって面倒見る女の微妙な心理だったり、婚約者を事故で亡くした友人が引越すことになり、その引越しを手伝いに行く私が感じる彼女との距離だったり、遠距離恋愛中の彼女と会いに行くのに途中下車してしまう中途半端な男の話だったり、いずれも人との微妙な距離感にリアリティあって、面白いのだ。それぞれの寂しさと孤独感が人との関係に微妙な距離を持たせる。

そして最後の短編「愛なんかいらねー」で、突然スカトロなのだ。
彼は言う。「人間だってナマコと一緒だよ。入り口と出口を繋ぐ筒なんだ」と。

気になっていた年下男と突然再会したと思ったら、人相が少し変わっていて、刑務所から出てきたばかりだという。そして、その男を部屋に入れてしまい、なんとなくそうなるのだが、その男が突然「おれ、変態だから」と言い出すのだ。そして過激なことをはじめる。性の深遠である。そこには、世界に見捨てられた男の深い深い孤独があった。そして辿り着いた唯一の快楽と諦念。そんなダメ男さえも距離を持ちながら受け入れてしまう女。

表現は過激でも、やはりそこにあったのは拒否するでもなく愛し合うでもない微妙な距離感だ。孤独な寂しさを埋めるかのような関係。強く自分のなかに入ってこられるのも嫌だし、かといって求め合うのでもなく、その不在に戸惑い、孤独を感じる。そんな世界に、なんだかリアリティを感じた。

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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