「対称性人類学」中沢新一

中沢新一の「対称性人類学」を読む。ちょっと難しい本だが
糸井重里のほぼ日の「はじめての中沢新一」と一緒に読むと
(http://www.1101.com/nakazawa/)
分かりやすい。そして、この本を読んでいろんなことがつながってきた。
野性的思考、神話、縄文の記憶、仏教の輪廻転生的慈悲の心、芸術の
発生などについて考察されていてとても興味深い。

そこで感じたのは、絶対の「一」ではなく、「多」であること。
多義性こそ世界を豊かにする。「一」の世界を志向すればする
ほど、衝突は生まれ、観念の奴隷となる。人間と動物が入れ替る
神話的世界のなんと豊かなことか。豊かなる想像力。
世界から人間が自らを切り離して観念の王国を作ってから、
人間は貧しくなり、つまらない衝突ばかりが続く。

去年、アイルランドに行った時、ケルト文化と日本のアニミズム的自然観にとても類似性を感じた。世界(自然)と人間の関係が支配ー被支配関係ではなく、連環しているのだ。
そして最近、キリスト教とイスラム教の対立などから一神教の限界を改めて考え、多神教的世界観、多様性・文化的差異を認めることの必要性を強く感じていた。国家や宗教など「一」の固定的観念が肥大化すると「絶対」が生まれ、ますます観念は衝突する。
「絶対」などどこにもない。多義的な世界を、ゆるく認め合えば
いいのだ。

自然に生かされているという自然と人間の距離の考え方、共生、
野性的思考を現代人はどうやったら取り戻せるのか?
クマに食べられて死んで自然に還っていった星野道夫や自然ととも
に暮らすモンゴルの遊牧民の映画を見ると妙に感動してしまうのは
そこに人間の傲慢さがないからだ。

人間は世界を認識するために、「言葉」を生み出した。
谷川俊太郎は、「言葉は世界をつかむためのものであると同時に、
世界をつかみ損ねるものでもある」と言った。言葉が生み出す
観念の奴隷になってはいけない。

「私」もまた絶対ではなく、関係性としての「私」があるだけだ。
「私」もまた一つである必要などない。あらゆる「私」になりうる
のだ。その可能性を自ら閉ざすことより、あらゆる「私」になり
うる可能性を捨てているのだ。脳の中に空きスペースを作って
おかなければならない。固定観念でいっぱいいっぱいの人間は
とても貧しい。なぜなら「多」や「他」を受け入れなれないから。

(た)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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