「そして、私たちは愛に帰る」ファティ・アキン

ハンナ・シグラの母親の姿に その思いに
泣けてしまいました。とてもいい映画です。

前半、少し重苦しく始まるのですが、後半どんどん引き込まれていきます。僕はまんまと監督の術数にはまりました。

この映画は、3組6人の親と子の愛をめぐる物語です。愛を求め、失い、愛することを奪われ、そして愛を噛み締める。親から子へ、子から親へのそれぞれの思い。愛は国境を越えて彷徨います。異国の地で、あっ気ないほどの突然の死。遺体になって祖国へ戻る飛行場での2つのシーン。運ばれる遺体。

2つの死が、2つの世界を結びつける。ドイツとトルコ、親と子の2つの世界。ドイツで育ったトルコ系移民2世のファティン・アキン監督が、その2つの世界で登場人物たちの6人の親子を移動させる。

ドイツでのトルコ移民の現実、トルコで感じるドイツ人の孤独、EU諸国とトルコとの微妙な関係、西と東の中間、キリストとイスラム、グローバリズムとナショナリズム、そして親の思いと子の思い・・・。

この映画は様々な異質な2つの世界を行った来たりする移動の映画でもある。列車で車で船で・・・。移動する6人の親と子は、それぞれの親や子への思いを抱えて国境を越える。そして、そのどちらの世界にも馴染めずに、感じ続ける疎外と孤独。

微妙にすれ違うニアミスの親子関係の脚本の妙が心憎い。さすがカンヌで脚本賞をとっただけある。ファーストシーンは、最後に円環し、親は悲しみの果てに子の思いを胸に異国にとどまり、子は親を思い、許し、海で待ち続ける。ラストの波の音が、なんとも静かに私たちの思いを包み込む。お見事です。
EOH08.jpg

☆☆☆☆☆5

(ソ)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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