「新しい人生のはじめかた」

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ダスティン・ホフマンと一緒に歩くと、なんだかやけに大女に見えちゃうなぁ(笑)エマ・トンプソンはそういう損な役まわりながら、年相応のさびしい女を好演。ダスティン・ホフマンの老け方とともに、二人の呼吸がイイ感じの佳作だ。観に来ていた客の年齢層も高く、それぞれが自らの老いの侘しさや寂しさを噛みしめながら観たことだろう。そう、この映画は、少し寂しく、うまくいっていない人たちが身につまされながら、共感する映画といえるだろう。

ダスティン・ホフマンは、二枚目でもなく小男だ。そんな彼が主役級スターになれたのも、ある時代とマッチしたからかもしれない。「卒業」のラストシーンがあまりにも有名だが、僕にとっては「真夜中のカーボーイ」の彼のラストシーンが忘れられない。足を引きづり、咳きこみながら情けないネズミと呼ばれる小男・ラツィオは、ラスト暖かいフロリダでの暮らしを夢見ながら、バスの中でションベンを垂れ流しながら果てる。僕にとっては、強烈なアンチヒーローだった。敵をなぎ倒す強くてカッコいいどんなヒーローよりも、共感できたのだ。

僕は思えばそうなカッコ悪いダメ男が出る映画が好きだ。「パリ・テキサス」のトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン )、「バッファロー‘66」のヴィンセント・ギャロ、恋人とや家庭や社会でうまくいかなくて、彷徨うようなダメ男になぜか共感してしまうのだ。ダスティン・ホフマン演じた「真夜中のカーボーイ」のラツィオは僕にとっての最初の衝撃的なヒーローだった。ダスティン・ホフマンはその小男の得意なキャラクターをいかして、「小さな巨人」「わらの犬」「パピヨン」「レニーブルース」「クレイマー、クレイマー」「レインマン」「トッツィー」と数々の作品でその存在感を示してきた。

さて、この映画だが、さらりと二人の今の侘しさや身につまされ方が描かれているのがいい。前半の二人のさりげないすれ違い、それから携帯電話の使い方もうまい。ケイトの母(アイリーン・アトキンス)の病的な電話と隣のポーランド人男性との関係の描き方もさりげないながらもうまい。仕事を気にするハーヴェイへの度重なる間の悪い電話やタグがとれない白いスーツも滑稽だ。最初の出会いのレストランでの掃除機やラストの二人をさえぎるサイクリングなど、大げさなラブストーリーではなく、細やかな演出がふたりの侘しさや逡巡を引き立たせている。

若い人とではなく、人生を悲哀を感じている大人と観に行くことをおススメします。



原題: LAST CHANCE HARVEY
製作年度: 2008年
製作国: イギリス
監督・脚本 ジョエル・ホプキンス
出演:ダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン、アイリーン・アトキンス、ジェームズ・ブローリン

☆☆☆☆4
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テーマ : ヨーロッパ映画
ジャンル : 映画

tag : 人生

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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