「8 1/2」フェデリコ・フェリーニ 

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すべてを欲しがり、なにも手放せない男。数々の美しき女たちに囲まれている一方で、冷えた妻との関係。何も決められない映画監督・グイド。映画づくりの幻想と現実の苦悩。壮大な自己弁護に自己愛。
人生はお祭りだ。一緒に過ごそう!」
ラストの大団円があまりにも有名な映画。「NINE」がこの映画へのオマージュだということで、それを観る前に、久しぶりに見た。

子供のころの回想シーンで現れる太った女・妖艶な女サラギーナが出てくると、「あぁ、フェリーニだなぁ」と思う。圧倒的な迫力で踊るサラギーナ。性への憧れ。母性への回帰。少年時代へのノスタルジー。そして、あらためて思ったのは盟友ニーノ・ロータの音楽は、フェリーニ的世界の根幹だよなぁ~ということ。人生は祭りであり、カーニヴァルだ。道化師たちのラストの行進と音楽。自らの混乱を混乱のままに認め、受け入れようと開き直るラスト。

なんでも、あのラストは予告編用に撮影したものを、撮影済みのラストに変えて、撮り直したらしいですね。「本当は登場人物達が白装束を着て、列車に乗ってどこかに向かう……というシーンが撮影されていた」らしいのです。でも、あのラストのお祭り感はやっぱりいいです。あのラストがなかったら、ここまでの傑作とは言われなかったでしょう。

映画監督の内幕もの映画の古典的名作です。ヴェンダースの「ことの次第」とかもそうだけど、これは停滞の映画です。映画は行き詰まって停滞している。クランクインされない。監督というのはプロデューサーやら役者やら美術や進行係や記者たち、様々な人々から質問され、決断を迫られる仕事。監督が決断しないと停滞する。すべてが止まる。何も進まない。多くの人たちが関わり、お金はかさんでいく。それは実世界そのもの。この映画は、その停滞と混乱の映画です。監督の私生活の女性問題と妻との関係も絡みあい、映画は行き詰まる。一説には、フェリーニは、実際に妻ジュリエッタ・マシーナとの不仲があり、その言い訳としてこの映画を作ったという噂もあるらしい。

まぁ、自分の混乱や言い訳を映画そのものにしちゃうのだから、たいしたものだ。人生は、いつだって混乱そのものだし、真実なんてわかりやしない。映画は嘘だし、嘘をつき続けてきたグイドの私生活は嘘まみれ。男の子供じみたわがままや自己愛。美しい女たちに囲まれ、いい気な自己憐憫にも感じるが、それもこれも人生だ。だから停滞から一転して、力がみなぎるラストに救われる。私たちは、そんな混乱そのものをまるごと引き受けて、前に進むしかないのだ。たとえ、みんなで手をつなぐ大団円が幻想にすぎないとわかっていても。

「アマルコルド」や「甘い生活」が見たくなったなぁ~。


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監督: フェデリコ・フェリーニ
原案: フェデリコ・フェリーニ/ エンニオ・フライアーノ
脚本: フェデリコ・フェリーニ/ トゥリオ・ピネッリ
   エンニオ・フライアーノ/ ブルネッロ・ロンディ
撮影監督: ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
カメラマン: パスクワーレ・デ・サンティス
音楽: ニーノ・ロータ

グイド・アンセルミ: マルチェロ・マストロヤンニ
妻ルイザ: アヌーク・エーメ
カルラ: サンドラ・ミーロ
クラウディア: クラウディア・カルディナーレ
ロッセラ: ロッセラ・ファルク
ドーミエ: ジャン・ルージュル
プロデューサー、パーチェ: グイド・アルベルティ
製作主任コノキア: マリオ・コノキア
マリオ・メザボッタ: マリオ・ピスー
グロリア・モリン: バーバラ・スティール
フランス女優マドレーヌ: マドレーヌ・ルボー
魔術師モーリス: イアン・ダラス
サラギーナ: エドラ・ガーレ

☆☆☆☆☆☆6
(ハ)
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 人生 ☆☆☆☆☆☆6

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

Author:Yasuo K  ( ヒデヨシ)
札幌でテレビの仕事をしている
オヤジです。
映画にまつわる雑文です。
2006年からの映画レビュー。
それから、本の感想を少し。


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2011年映画ベスト10
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2009年映画ベスト10
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