「ボヴァリー夫人」アレクサンドル・ソクーロフ

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1989年のアレクサンドル・ソクーロフ監督作『ボヴァリー夫人』を、監督自ら再編集したディレクターズカット版。

「牛の鈴音」がとても観やすくフィクションのように作られたドキュメンタリーなら、このソクーロフの「ボヴァリー夫人」は、フィクションであるのにもかかわらず、虚構の海に気持ちよく身を委ねて浮かぶことが出来ない、とてもとても観づらい映画だ。もうほとんどお手上げだった。

まずアフレコの音の不自然さが映像とマッチしていなくて、もう違和感ありすぎで、辛かったです。現場同時録音ではなく、あとからスタジオで録られたようなクリアーな音は、妙に嘘くさく芝居がかっている。さらに不快なハエの羽音が、至る所で聴こえ、造られた音の虚構の世界と自然そのものを背景に繰り広げられるの映像とのギャップが観づらい。

原作のフローベールの「ボヴァリー夫人」ははるか昔に読んだきりなので、すっかり忘れてしまったので、原作との違いについては、何も語れません。映画は、細かい説明をせずに、話が飛びながら展開。ボヴァリー夫人が自然の中で惜しげもなく裸体をさらしつつ、終始、ハエにたかられているように、腐っていくように、セックスに溺れ、借金を重ね、腐敗して、死んでいくまでを描いている。最初の方に出てくる異様な数のハエの中での夫との食事シーンに驚かされる。美しい自然の光や晒され続ける裸体から、少しづつ死臭がするような映画だ。

借金で身動きが取れなくなって、前の男に工場のような場所に金を借りにいく場面、炎と圧倒的な機械が彼女の思いに立ちはだかる。なにやらわからない凄まじい音で動く機械は、セックスの上下運動のようにも見え、人間の欲望が巨大化したもののように見えた。そしてラストの巨大な3重の棺は、一体なんなんだ~?もうその異形はシュールですらある。食事にシーンの圧倒的な数のハエ。そして終始聴こえるハエの音、耳をつんざく機械音や馬車の音の過剰さ。そしてポルノのように終始さらされる裸体。そんな異形な過剰さが、ソクーロフ演出の不気味さだった。

ただ、最後まで映画にのめりこめないまま、違和感を抱きつつ、眠さをこらえ、戸惑い続けた映画だった。ソクーロフ監督に興味のない方は、オススメしません。ただ、ヘンテコな映画です。

[監督]アレクサンドル・ソクーロフ
[キャスト]セシル・ゼルヴダキ、R.ヴァーブ、アレクサンドル・チェレドニク、B.ロガヴォイ
[原作]ギュスターヴ・フローベール
[撮影]セルゲイ・ユリズジツキー
[美術]E.アムシンスカヤ

原題 SPASI I SOKHRANI
製作年 2009年
製作国 ロシア

☆☆2
(ホ)
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テーマ : ヨーロッパ映画
ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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