「キャラメル」

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レバノンのベイルートで作られた映画。宗教戦争が繰り返され、我々には遠く馴染みのない国・レバノン。中東のパリとも呼ばれるこの国で、美しき女性監督によるエステサロンを舞台にした女性たちのそれぞれの生き方が描かれた。そこには、男たちのキナ臭い争いはない。女であることにこだわり、女であることを捨てられない女たちの映画だ。

タイトルになったキャラメルとは、砂糖とレモンと水をキャラメル状になるまで煮詰めたムダ毛脱毛用のペーストを指し、甘く美味しい砂糖でも、人に傷みを与えるものになりえるという意味が込められているらしい。口の中で舐めたりするシーンは官能的。一方、甘くスイートでありながら、ビターで脱毛するシーンはなかなか激しい。特に、不倫相手の妻への脱毛シーンは怖かったです。

結婚間近の女性が、処女膜再生手術までして、処女にこだわるイスラム社会の男尊女卑ぶりにはビックリ。イスラム世界の独特な倫理観が描かれたか思うと、不倫に悩む哀しき女性も描かれたり、キリスト教とイスラム教が混在するレバノンの社会は、なかなか理解しづらい。それでも、女心はやっぱり万国共通。男を思う気持ちと嫉妬と独占欲と老いへの恐れは変わらない。老いらくの恋や介護問題や男の興味のない女性などの話題も入れながら、女性たちのための女性たちの映画。

それは、争いばかり繰り返す男社会へのアンチテーゼでもあり、女性監督からの女性たちへの共感と応援歌とも見える。『シリアの花嫁』にも頑固な男たちに比べて、しなやかな女性たちが描かれていた。それぞれ宗教や価値観が違っても、協力し合いながら、ともに生きる女性たちが明るくしたたかで美しかった。


原題:Caramel
監督:ナディーン・ラバキー
脚本:ナディーン・ラバキー、ジハード・ホジェイリー、ロドニー・アル=ハッダード
キャスト:ナディーン・ラバキー、ヤスミーン・アル=マスリー、ジョアンナ・ムカルゼル、ジゼル・アウワード、アーデル・カラム、シハーム・ハッダード、アジーザ・セマアーン
撮影:イブ・サフナーウィー
音楽:ハーレド・ムザンナル
美術:シンシア・ザハル
製作国:2007年レバノン・フランス合作映画

☆☆☆3
(キ)
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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