「さんかく」 吉田恵輔

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前作「純喫茶磯辺」もダメな家族の物語だった。今回もダメな人たちの三角関係だ。
純喫茶磯辺

恋は盲目。見境がつかなくなり、ストーカー的な一方的な思い込みへ。誰もが経験するこのダメさ加減を三角関係で描いた映画であり、前作の「ゆるさ」よりも、より「怖さ」へとシフトしている分だけ面白い。人間はダメで怖いものなのだ。

そもそも、人と人の「間」にすべてがある。<物語はその「間」を描くこと>と言っても過言ではない。その「間」は、関係性によって微妙に変化する。一つの関係が生まれていくと、もう一つの関係が壊れていく。それは連鎖反応的に化学変化を起こしながら、移っていく。つい最近見たヌーヴェル・ヴァーグの傑作とも言える「アデュー・フィリピーヌ」も、女2人が男1人を同時に好きになるという三角関係の映画だった。
アデュー・フィリピーヌ

男女の三角関係は映画の王道の物語でもあるのだが、この映画もまたその微妙な移り行く関係の変化と空気を描いているという意味で、佳作といえるだろう。

15歳の中学生モモちゃん役の小野恵令奈はAKB48のアイドルだそうだが、この映画での彼女は<今この時>でしか演じられない役を演じた。舌たらずであどけない顔。大人と少女の<間>、中途半端で無敵で無自覚で狡猾な存在、それはこの時でしか出せない魅力だろう。もう1年早かったり、もう1年遅かったりしたら、違う映画になったかもしれない。それくらい微妙な危うさ、不均衡。それがこの映画のすべてでもある。その中途半端な女と少女の<間>の存在であるモモちゃんが、同棲生活を送る百瀬(高岡蒼甫)と姉の佳代(田畑智子)の二人の<間>に割り込んで来ることによって起こる化学変化は、ある意味必然的ともいえる。固まった関係が、危うく不均衡に中途半端になるのだ。

田舎から都会にやってきたモモちゃんは、憧れの先輩に冷たくされストーカー的な視線を送る。そのストーカー的視線や行為は、百瀬と佳世にも伝染し、百瀬はモモちゃんにしつこく電話をかけ続け、佳世は家を出て行った百瀬にいつまでもつきまとう。佳代役の田端智子の必死さと無自覚な怖さもうまい。「あるあるあるよなぁ~」とつい笑いながら思ってしまった。それに孤独の闇の隙間に入り込むマルチ勧誘商法にはまっていく描かれ方もうまく使われている。

そしてこの映画の良さは、ラストの3人の眼差しの交差にある。台詞で決着をつけるのではなく、3人の眼差しが交差するその瞬間で終わらせるラストはとてもいい。自ら脚本も書き、ダメ人間たちの<関係>をリアリティ溢れる台詞回しと眼差しで描く吉田恵輔監督の今後に期待したい。

製作国: 2010年日本映画
配給: 日活

監督・脚本: 吉田恵輔
撮影: 志田貴之
音楽: 佐々木友里
美術: 藤田徹
編集: 松竹利郎
キャスト:高岡蒼甫、小野恵令奈、田畑智子、矢沢心、大島優子、太賀、赤堀雅秋

☆☆☆☆4
(サ)
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    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
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    4、さんかく
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2009年映画ベスト10
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    7、チェンジリング
    8、ロルナの祈り
    9、レスラー
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<日本映画>
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