「砂漠の流れ者」 サム・ペキンパー

砂漠

昔、サム・ペキンパーが好きだった。サム・ペキンパーと言えば暴力描写が有名だが、正しき者が勝利するという勧善懲悪でない<人間>を描いているところが多分好きだったのだろう。スローモーションの銃撃戦で有名な「ワイルド・バンチ」、ヒット作「ゲッタウェイ」、ダスティン・ホフマンが暴力に巻き込まれる衝撃作「わらの犬」、「戦争のはらわた」、「コンボイ」などの映画を撮っている監督だが、彼の映画で僕が最も好きなのが「ガルシアの首」とこの「砂漠の流れ者」です。ともに土臭い、男臭い映画です。「ガルシアの首」はメキシコを舞台にした映画で、なんだか男の哀愁が感じられる映画でした。似たようなタイプの男臭いテキサスとメキシコの映画で最近では「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」(トミー・リー・ジョーンズ監督)という映画があったけど、あれも良かったなぁ。
「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」

さて、この「砂漠の流れ者」は、まさに砂漠の真ん中に放り出された一人の男の物語である。彼は身ぐるみ剥がされ、一人砂漠で彷徨う。そして死にそうになる直前に見つけた泉。そして彼はその泉から、駅馬車の休憩所を作って成功し、最後に復讐を果たすというような物語。映画のラストの方で、馬車ではなく車が登場し、水ではなくガソリンがこれからは必要だという時代の変わり目が描かれている。ある意味、西部劇の終わりのような物語なのだ。

それをゆったりとした時間のなかで、何もない砂漠で生きていく一人の男の姿を、愛情をこめて描いているのだ。暴力的な撃ち合いがあるような映画ではまったくない。ラストの終わらせ方もなんだか滑稽で微笑ましい。どちらかというと不器用な男(ジェイソン・ロバーズ)と変なエロ神父(デビッド・ワーナー)との奇妙な交流、そして町で冷たい目で見られている売春婦(ステラ・スティーブンス)との愛の物語が中心だ。いずれもはぐれ者なのだ。世間からのはぐれ者たちが、誰もいないような砂漠の真ん中で、夢のようなあたたかい時間を過ごす。サム・ペキンパーのカッコ悪くも不器用に生きている<人間>を見つめる目の確かさがここにはある。久しぶりに見たけれど、奇妙なおかしみのあるやっぱりいい映画で好きです。「ガルシアの首」もまた見たいなぁ~。

原題: THE BALLAD OF CABLE HOUGE
製作・監督: サム・ペキンパー
脚本: ジョン・クロフォード、エドモンド・ペニー
撮影: ルシアン・バラード
音楽: ジェリー・ゴールドスミス
キャスト:ジェイソン・ロバーズ、ステラ・スティーブンス、デビッド・ワーナー、ストローザー・マーティン、スリム・ピケンズ
製作国: 1968年アメリカ映画

☆☆☆☆4
(サ)
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 西部劇

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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