「男性・女性」 ジャン=リュック・ゴダール

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「気狂いピエロ」でアンナ・カレーニナ時代に区切りをつけたゴダールは、この映画から「政治の季節」が始まったと言われている。盟友のカメラマン、ラウル・クタールと別れを告げ、新たなスタッフでドキュメンタリー要素のインタビューを取り入れながら、「十五の明白な事実」を描く。より客観的な事実を取り出すように、フィクションの途中で突然、役者にインタビューが始まる。


「マルクスとコカコーラの子供たち」と副題が付けられたこの映画は、ベトナム戦争反対の若者たちを登場させながら、同時にアメリカ文化を享受してきた性との虜でもある若者たちを描く。

ポール(ジャン=ピエール・レオ)は、歌手志望のマドレーヌ(シャルダン・ゴヤ)に恋をしているがいつも冷たくあしらわれている。突然、「世界の中心は?」と聞かれて、「それはだと思う」と真剣に答える。ところが女性は「世界の中心は自分だ」と確信している。「娼婦と寝たことある?」とも聞かれ、戸惑いながら「うん。まぁ。でも娼婦は嫌いだ。悲しくて、冷たくて」と答えるが、女は「別にいいのよ」と気にしない。

一方、男が問いかけるインタビューは政治的だったり、観念的だったりする。それに対して、女の子たちは「何でそんなこと聞くの?」とこれまたそっけない。あくまでも現実的でリアルだ。


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日本で「乙女の涙」というシャンソンをヒットさせたこともあるシャルダン・ゴヤはくるしくかわいいが、ジャン=ポール・レオには冷たい。それよりも今は歌に夢中だ。ゴダールの映画では、いつも女は男にそっけなく、男は女に振り回される。

でもこの映画は、ジャン=ピエール・レオの自意識ばかりが目立ち、そこが逆に滑稽で面白い。レコードを作る機械に恋のメッセージを吹き込んでみたり、突然ふざけて歌いだしたり、映写室にサイズが違うと怒鳴り込んでみたり。シャルダン・ゴヤにプロポーズしようと真剣に話しかけても逃げられる。

一方、物語はしばしば中断される。カフェで話している途中に、夫婦喧嘩が始まり、妻が夫をピストルで撃ち殺してしまったり、自らお腹にナイフを突き立てる男が現れたり、ベトナム反戦で焼身自殺してしまう男の挿入など、インタビュー以外にもいろいろと中断が起きる。カフェで「ドアを閉めろ」と怒鳴る客。街頭のノイズ(現実)がフィクションを中断させる。ブリジッド・バルドーまでカフェで台本の本読みをしている。虚構と現実の交錯。

興味深い映画ではあるが、物語の神話性という意味では物足りない。ゴダールがこの映画以降、どんどん「虚構」から「現実」の方へ向かって行くのだ。


1966年 フランス スウェーデン
35mm モノクロ 104min
原題 Masculin-feminin

監督 ジャン・リュック・ゴダール
脚本 ジャン・リュック・ゴダール
撮影 ウィリー・クラント
編集 アニエス・ギュモ
音楽 フランシス・レイ
出演 ジャン・ピエール・レオ
シャンタル・ゴヤ
マルレーヌ・ジョベール
ブリジット・バルドー
アントワーヌ・ブルセイユ

☆☆☆☆4
(タ)
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ジャンル : 映画

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