「不戦勝」イエジー・スコリモフスキ

walkover.jpg


デビュー作『身分証明書』の続編とも言えるこの作品。ショットの切り返しを頑なまでに拒否し、徹底的に計算されつくされた演出プランのもと、移動撮影を駆使しながら展開されるワンシーンワンカットのカメラワークに、ただただ驚かされる。やや強引でわかりづらい面もあった『身分証明書』の画面構成から発展し、ワンシーンワンカットの演出術はより巧に計算され、お得意の列車飛び乗り&降りシーンが、追いかけるオートバイをも一画面に納めつつ進行してしまう見事さだ。

アンジェイは兵役を終えて、6年後、列車を降り立つ。同じ駅に降り立った同窓生のテレサに話しかけ、テレサが重要なポストにつくという工場に一緒についていく。アンジェイがナニモノでもない曖昧な立場であるのは同じだが、彼はもう30歳になっていた。そして偶然であった兵役時代の馴染みのボクシングトレーナーにボクシングの試合に出ることを勧められる。

<ナニモノでもない男>が、「何かのために戦う姿を見せること」に意味を見出したアンジェイ。しかし、一度はボクシングの試合に勝つも、テレサとともに列車で逃げ出し、試合で負けた男にオートバイで連れ戻され、試合会場に到着するも、相手は姿をみせずに不戦勝。賞品をもらった後で、試合相手の男が現われ、賞品を寄越せと言われ、アンジェイは殴られて終わる。

戦うことも、踊ることもできない中途半端さ。列車に乗って移動するだけ。あちらからこちらへと。それも気分で走り出したり、飛び降りたり…。そこからは中途半端な勝利しか味わえない。

そんな中途半端な男を徹底した移動撮影でワンカットのなかで、人物たちを動かし描き続ける興味深い映画だ。


製作年 1965年
製作国 ポーランド
原題 WALKOVER
時間 74分

監督: イエジー・スコリモフスキ
脚本: イエジー・スコリモフスキ
音楽: アンジェイ・トゥシャコフスキ
出演: アレクサンドラ・ザビエルシャンカ イエジー・スコリモフスキ クシシュトフ・ハミュツ エルジュビェタ・チジェフスカ フランチェシカ・ピィエッカ アンジェイ・ヘルデル

☆☆☆☆☆☆6
(フ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 青春 ☆☆☆☆☆☆6

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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