「乳と卵」 川上未映子

芥川賞受賞作の川上未映子の小説が文庫本になっていたので、やっと読んだ

独白調の長い長いセンテンス。豊胸手術を受けるという場末のキャバレー勤めの姉の巻子とその娘で、母とは一言も口をきかない緑子とわたし。私を訪ねて上京してきた奇妙な親子との駅のホームでの再会から帰るまでの数日間の物語。

いかにも女性的な感性が横溢している。女が女であることの意味について問いかけ続ける。初潮、受精していない無精卵と出血、毎月迎える生理の宿命など緑子の目線を通して女への疑問がつぶやかれる。「生まれる前からあたしのなかに人を産むもとがあるということ」。女性に生まれた時から卵巣の中にある700万個もある卵子のもとがあって、それが年を重ねるとともに減っていくらしい。男の精子を迎え、受胎するために「女が女であること」の憂欝を少女は感じ、母である巻子の忙しすぎる仕事の苦労を感じつつも、女になることを拒否するかのように、母への嫌悪も芽生えてくる。そして母と子の間に言葉は失われる。

一方、豊胸手術を受ける巻子は饒舌だ。聞いてもいないことをベラベラとわたしに喋り続ける。わたしが興味ない豊胸手術について。その手術は誰のため?男のため?自分のため?疑問を感じつつも私は何も聞かない。男に見せるための胸?自分のための胸?美しさと自信について。さらに銭湯で話される巻子のコンプレックスである胸についての会話が生々しい。

ラスト、母と娘の溝は、卵の殻を投げ続ける緑子の爆発によって、とりあえず埋められる。卵の殻を泣きながら緑子が投げ続けるシーンはなかなかいい。この小説の言葉にならない少女の<女>と<母>への複雑な思いが見事に描かれている。

(ち)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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      2013年映画ベスト5
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    5、「きっと ここが帰る場所」
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    7、「風にそよぐ草」
    8、「恋のロンドン狂騒曲」
    9、「おとなのけんか」
    10、「別離」
    次点 「裏切りのサーカス」
番外
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    「家族の庭」

    3、「演劇1&2」
    4、「夢売るふたり」
    5、「アウトレイジビヨンド」
    番外 「ヒミズ」


2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
    4,「愛する人」
    5,「クリスマス・ストーリー」
    6,「トゥルー・グリット」
    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
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2009年映画ベスト10
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<日本映画>
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