「我が至上の愛~アストレとセラドン~」エリック・ロメール

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エリック・ロメール監督の遺作。なんとおおらかで、何と美しく、なんとほほえましく、なんとエロティックな映画なことか!まさにロメール監督の遺作にふさわしい古典恋艶笑劇。

美しきセラドン(アンディ・ジレ)に女装をさせて、死んだと思っていたアストレ(ステファニー・クレイヤンクール)の前に現れさせて、危ういスリリングな関係を描きつつ、エロチックに二人のを描く。この<変装>の主題は、ビリー・ワイルダーの映画(『お熱いのがお好き』)のように、可笑しくもセクシャルで楽しい。

美しい自然光で描かれる森の中で美しき女性たちの肌や太ももが露わになり、乳房も衣装の下から自然に晒される。そして美男子の女装とニンフのような美女たちに囲まれた官能の世界をこの映画は楽しめば良いのだ。

「私の前に二度と現れないで」という言葉の呪縛を解くのは、やはり目の前の官能的な身体なのだ。眠っていたアストレを森の中で見つけて、口づけをしないではいられないセラドン。女装して身分を隠しながらも、彼女の肌にキスをしないではいられない官能性。それこそが、ロメール爺さんが描きたかったなのだ。

川辺に倒れたセラドンを助けた城に住むガラテ(ヴェロニク・レモン)もまた、「彼を見つけた最初の人が彼のことをする」という秘法に通じた僧侶の言葉の呪縛のまま、彼をすることになる。言葉はいつだって心を呪縛する。一神教と多神教、一途な恋と移り気な恋が対比的に描かれるが、そんな言葉たちよりも、何よりも説得力があるのは、「官能的な美しさ」なのだ。嫉妬や迷いによって、しばしば迷宮の森をさ迷うことになる人間たち。そんな滑稽で哀れで喜劇的でおしい人々の<愛の官能性と美しさ>を永遠に描き続けた監督こそがエリック・ロメールなのだ。

製作年 2007年
製作国 仏=伊=スペイン
原題 LES AMOURS D'ASTREE ET DE CELADON
監督 エリック・ロメール
原作: オノレ・デュルフェ
脚本: エリック・ロメール
撮影: ディアーヌ・バラティエ
衣装: ピエール=ジャン・ラローク
編集: マリー・ステファン
音楽: ジャン=ルイ・ヴァレロ
出演: アンディ・ジレ、ステファニー・クレイヤンクール、セシル・カッセル、ジョスラン・キヴラン、ヴェロニク・レモン、ロセット、ロドルフ・ポリー 、マティルド・モスニエ、セルジュ・レンコ

☆☆☆☆☆5
(ワ)
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