「美代子阿佐ヶ谷気分」坪田義史

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伝説の雑誌「月刊漫画ガロ」の作家・安部愼一が、後の妻・美代子と同居生活を送りながら発表した同名青春劇画を映画化。

1970年代、時代は社会との闘争に敗れ、私的世界に閉塞していった。それぞれの個の世界に。そんな時代のやるせいない閉塞感がこの安部愼一の漫画にもただよっているのだろう。残念ながら安部愼一の漫画を意識して読んだ記憶が僕にはない。林静一やつげ忠男、永島慎二の名前は知っていているが…。安部愼一氏は、永島慎二に影響を受けて漫画家を志したそうだ。永島慎二といえば『漫画家残酷物語』『若者たち』『フーテン』など青春漫画の教祖といわれている漫画家だが、阿佐ヶ谷をベースに活動していたそうだ。そしてこの安部愼一も阿佐ヶ谷で恋人の美代子と暮らしていた。その美代子との同棲生活(古い言葉になったなぁ)の自伝的物語として映画も展開されている。話の元ネタは、安部慎一氏の漫画が使われているらしい。

暗く貧しく陰鬱で叙情的で少しシュールなガロ的世界。この映画はそういった「漫画ガロ」時代、あるいは安部愼一氏へのオマージュの映画だ。そこで描かれるのは、セックスであり、であった。美代子の裸をひたすら描き続け、を裏切り、自らを裏切り、友と美代子のセックスまで描こうとした。そして友の死の哀しみや美代子とのの変遷、描けなくなって追いつめられて精神を病むところまで、漫画家・安部愼一のと苦悩の生涯に寄り添うように映画は作られている。

<追記>たまたま同じ漫画家の話『グーグーだって猫である』(犬童一心監督、小泉今日子、上野樹里、加瀬亮出演)をちょっと前に見たんだけど、これは阿佐ヶ谷ではなく吉祥寺の物語でした。猫大好きの漫画家・大島弓子の自伝的物語を吉祥寺を舞台に展開していました。漫画家は中央線沿線が好きなのでしょうか・・・。
それに、どちらの映画にも商店街のコロッケ・メンチカツが幸せの食べものとして出てきたのは、面白かったなぁ。

製作年: 2009年
製作国: 日本
日本公開: 2009年7月4日
(シアター・イメージフォーラム)
配給: ワイズ出版
監督・脚本・編集: 坪田義史
脚本: 福田真作
撮影監督: 山崎大輔
美術: 田中浩二 / 尾崎雅朗
キャスト:水橋研二、町田マリー、本多章一、松浦裕也、あんじ、佐野史郎、三上寛、林静一、飯島大介、飯島洋一、銀座吟八、和倉義樹、石川真希、つげ忠男、シバ

☆☆☆☆4
(ミ)
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ジャンル : 映画

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