「夜顔」マノエル・デ・オリヴェイラ

夜顔

ブニュエルの「昼顔」は随分前に見たので忘れてしまった。この映画は、ブニュエルの「昼顔」へのオマージュをこめて制作された38年後の後日談。
「夜顔」の原題は「Belle toujours」(ベルトゥジュール、いつまでも美しい)。ルイス・ブニュエルの「昼顔」の原題は「Belle de jour」(ベルドゥジュール、昼間の美人)。

「昼顔」のカトリーヌ・ドヌーブからビュル・オジエに交代。「昼顔」をすっかり忘れていても十分理解できる作品になっている。女の過去の秘密を知っている男が、コンサート会場で女を見つける。女は逃げるが、男は女の居所を突き止める。そして再会のディナー・シーン。

まず捜していた女と街角で再会するシーンが大ロングなのだ。会話さえ街のノイズで聞こえない。ある店の前で出会った二人は、なにやら会話をするが観客には聴こえない。女はいなくなり、男はそれを見送ったあとに、お店の中に入り、なにやらプレゼントのようなものを買い求め、出て来る。あとで、二人はディナーの約束をしたのだということがわかる。

そしてやっと再会したディナー・シーン。個室で豪華なディナーだ。簡単な挨拶を交わしたあと、給仕たちによって飲み物と食事が運ばれてくる。その間、二人は何一つ会話をしない。沈黙のまま、お互いに顔や窓外などに視線を移し、食事を楽しむ。そして、給仕たちを部屋から追い払い、やっと二人の秘密の会話が始まるのだ。この沈黙が長いのだ。数分はあるだろう。

このたっぷりとした焦らされ方にはビックリ。さすが老齢のマノエル・デ・オリヴェイラ監督。せっかちに急いじゃいません。お楽しみはゆっくりと。それは、このミシェル・ピッコリ演じるアンリ・ユッソン氏も同じこと。夫を愛しながらも、娼婦だったという女の秘密の過去を友人として知っていたこの男は、ゆっくりと再会のディナーを楽しむのだ。何も会話を始めずに、食事を楽しみながらこの時間を楽しんでいるのだ。

そしてラストはブニュエルへのオマージュなのか、廊下に鶏まで登場させて、観客を煙に巻く。彼女が知りたかった夫へ秘密をばらしたのか?さらにあのプレゼンの箱の中とはなんだったのか?それさえも明らかにしないままに。箱の中身は本当に気になります!

特になんということのない会話劇。男がバーのカウンターで昔話をする。秘密の思い出話。愛と欲望について。
大人の味わいの映画です。若い人たちは、何も起きない展開にキツネにつままれたように???で、何一つこの映画の良さなどわかりはしないでしょう。

製作年 2006年
製作国 仏=ポルトガル
原題 BELLE TOUJOURS
時間 70分
公開日 2007年12月15日(土)公開
監督 マノエル・デ・オリヴェイラ
脚本: マノエル・デ・オリヴェイラ
撮影: サビーヌ・ランスラン
美術: クリスティアン・マルティ
衣装: ミレーナ・カノネロ
出演: ミシェル・ピッコリ、ビュル・オジエ、リカルド・トレパ

☆☆☆☆4
(ヨ)

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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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