「フリック」小林政弘

何が現実で何が妄想なのか。すべては曖昧なままだ。映画自体もその曖昧なままに投げ出してみせる。解釈は観客に委ねるというやつだ。どこまでが妄想なのかを考え出すとキリがなくなる。スッキリしない結末で、ストーリー自体が宙吊りだ。まさにサスペンス(宙づり)なのだが…。

最愛の妻を殺された刑事・村田(香川照之)は、酒におぼれ、自暴自棄となったいた。そんな心の傷も癒えない村田の新たな任務は、殺された若い女性の身元確認のために脚の不自由な兄を東京に連れてくることだった。さっそく同僚の滑川(田辺誠一)とともに兄が住む苫小牧へ飛ぶが……。

村田の混乱ぶりはそのまま観客に混乱そのものとして提示される。バーの謎の女・伸子(大塚寧々)の存在とは?どこまで何を知っていたのか?滑川(田辺誠一)は犯罪者なのか?妻との関係は?ラスト、伸子の部屋で目覚めた村田は、すべては自分の妄想だったと納得し、幸福な朝食を取り、伸子に一緒に暮らすことを提案し、これからドライブへ行こうと誘う。しかし二人はドライブに行ったのか、それとも…。俯瞰のカメラは、赤と白の車を交差させる。

苫小牧の荒涼とした寂れた空間が映画の心象風景としてマッチしている。カメラはカットを割らずに長回しの引きの画面のまま、退屈なほどそのままで芝居を見せる。すべては観客が想像しろと言うわけだ。一方、意味ありげなパンを何度も繰り返し、香川照之の空虚な視線の映像が何度も繰り返される。

大塚寧々の猟銃を構えた姿はちょっとサマになっていなかった。妄想でも、もっと悪女らしい感じが欲しいところだ。香川照之と田辺誠一の芝居はスリリングだったが、映像自体の作為的な演出はハナについた。長回しのロングも、芝居に緊張感がないとただ退屈なだけだ。面白くなりそうな要素はあるのに、もっと迷宮に引き込まれるようなスリルを感じたかった。


製作年: 2004年
製作国: 日本
日本公開: 2005年1月22日
上映時間: 2時間34分
監督・脚本: 小林政広
原案: 小林政広
撮影: 伊藤潔
音楽: 佐久間順平
編集: 金子尚樹 
キャスト:香川照之、田辺誠一、田中隆三、松田賢二、安藤希

☆☆2
(フ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : サスペンス

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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