「沈む日本を愛せますか?」内田樹 高橋源一郎

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渋谷陽一編集の季刊誌「SIGHT」での内田樹と高橋源一郎の対談集である。
自民党の敗北から政権交代、民主党について、鳩山由紀夫、小沢一郎、小泉純一郎などについての二人の言いたい放題である。

大きな論旨は二つ。
・右肩上がりの経済成長はもう望めない日本、そのことを認識した上での日本のこれからを考えようということ。
・アメリカの属国である日本という立ち位置をハッキリしり自覚した上で、日本がアメリカから主権国家として独立するにはどうすればいいかを考えよう。

そういう縮小し、沈みつつある日本をあなたは愛せますか?という訳だ。
だからといってこれは悲観論なんかではないのだ。考え方を変えて、これからの日本を楽しく考えようというのだ。

日本という国は、本音と建前をうまく使い分けてきた国なんだろう。だからこそ、いろんなものを取り込んでこれた。二人が言うように独自の国家理念のない国なのだろう。敗戦後、アメリカの軍事力、核の傘のもとで何も考えずに、経済成長をひたすら推し進めてきた。おかげで平和と繁栄を享受し、世界の名だたる経済国家になった。そのあいまいな二重性は、日本の特異性でもある。

が、しかし、図らずも鳩山が普天間問題でパンドラの箱を開けてしまったように、日本は何一つ外交的に決められないのだ。アメリカの言うとおりにしか振る舞えない。主権国家ではないのだ。そのことを明らかにしたという意味では、民主党に政権が変わり、普天間基地を県外移設しようとして出来なかった鳩山の功績かもしれない。経済大国になったかもしれないけれど、日本はアメリカの属国に過ぎないということだ。小泉がわかりやすい言葉で人々を扇動し、アメリカの追随をして規制緩和とグローバリズムを推し進めて、いろんな問題を起こしたように。小泉もまたアメリカの言う通りやっていればすべてがうまくいくという幻想を図らずも打ち砕いてくれたのだ。

解決が見えない沖縄の基地問題を鳩山個人の迷走と非難したマスコミも問題だ。沖縄基地問題は、日本が見ないようにしてきたことをあからさまにしてしまっただけだ。政権が変わってもどうにもならないこのシステムをどう考えるか?首相個人の特異な資質のせいにして、思考停止してしまうことこそが問題なのだ。

管首相は「第三の開国」などと言って、またしてもアメリカの意のままに、経済成長の夢を語っている。人口が減っていき老人大国となる日本で、開国(貿易自由化)することで、どれだけの経済成長が望めるのか?二人が言うように、今こそ右肩上がりの幻想を捨て、高度資本主義社会が行き着いた果ての日本で、どんな国家を望むのかを考える時かもしれない。

(し)
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