「ゴダール・ソシアリスム」ジャン=リュック・ゴダール

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80歳のJ=L・ゴダール最新作である。う~ん、手ごわい・・・。
あらかじめ解釈されることを拒否しているかのような断片、映像や音のノイズの羅列。なんなんだ~!?

海の映像から始まり、青い闇に浮かぶ豪華客船の美しいデッキの映像があるかと思えば、船内のディスコやカジノなどの荒れたデジタル映像、ネットの猫たちの映像やオデッサの階段を始め戦争などの数々の白黒映像や古いフィルム。さらに音の割れた爆音ノイズや風の雑音など、断片的に無造作に途切れ途切れに挿入される。そして引用の言葉たちの数々や音楽。

これらの雑多な音と映像が並列的に配置されている。音と映像が何かを構築するわけでもなく、物語に奉仕するわけでもない。本来ならばもっと整音されたり、捨て去られるようなノイズである音や映像がそのまま拾われ、編集され、並べられているのだ。そこには快楽も美しさも陶酔もない。暴力的なまでに無造作に投げ出されている。音と映像、これはイメージのソシアリスムか?

「お金は社会のもの」「水と同じ」という声とともに、黒々とした海面が映し出される。そして圧倒的な白い波しぶき。地中海を進む豪華客船ゴールデン・ウェブ号を舞台に繰り広げられる第1楽章<こんな事ども>。船はアフリカを捨て北へ向かう。『望郷』のペペル・モコのように。それはヨーロッパの歴史そのものなのか。スペインの消えた黄金の謎。黄金の時計。あふれる金持ちたちと働く黒人たち。様々な映像と音の洪水。そこには過剰さがある。金と同じように映像と音が雑多に溢れている。

続いて<どこへ行く、ヨーロッパ>というタイトルとともに描かれる第2楽章は、一転して、静かにフランスの片田舎の4人家族と動物たち(ロバとラマ)、その家族が住むガソリンスタンドを選挙取材のために訪れるTVクルー。大人と子供、取材する側とされる側が対置される。ロバと青い空と赤い車が印象的だ。

第3楽章は<われら人類>とクレジットされ、エジプト、パレスチナ、オデッサ、ギリシャ、ナポリ、バルセロナと船が寄港した各地と人類の歴史をたどっていく。古代ギリシャで始まった民主主義と悲劇は、争いを生んだ。それは戦争やヒットラーの独裁政治で模倣し続ける。ドイツ、ユダヤ人、パレスチナ。

「民主主義と悲劇はアテネにおいて結婚した。ただ一人の子供は、内戦だ」

金が水のように溢れるこの世界(ヨーロッパ)は、果たしてどこへ向かうのであろうか?民主主義を生み出したのは古代ヨーロッパだが、幾何学のゼロを発明したのはアラブ人だとか。原点と未来。幻想と幻滅。
黒い海原を走る豪華客船は、白い波しぶきを立てながら、われらを乗せて、映像と音のノイズが並列的に溢れるイメージの自由と平等の世界へ。それこそ、デジタル画像で撮影された「フィルム・ソシアリスム」なのか。

「国家の夢は、一人でいること。個人の夢は、二人でいること」

「光はなぜある?闇があるから」



英題: FILM SOCIALISME
製作年: 2010年
製作国: フランス/スイス
日本公開: 2010年12月18日
上映時間: 1時間42分
配給: フランス映画社
監督: ジャン=リュック・ゴダール
監督部・撮影: ファブリス・アラーニョ / ポール・グリヴァス
監督部: ルーマ・サンバール / アンヌ=マリー・ミエヴィル / ジャン=ポール・バタジア
サウンド: フランソワ・ミュジー / ガブリエル・アフネール
製作: ルート・ヴァルトブルゲール / アラン・サルド
キャスト:マチアス・ドマイディ、ナデージュ・ボーソン=ディアーニュ、ジャン=マルク・ステーレ、アガタ・クーチュール、マリー=クリスティーヌ・ベルジェ、カンタン・グロセ、モーリス・サルファティ、オルガ・リャザーノワ、ドミニク・ドヴァル、ルーマ・サンバール、パティ・スミス、レニー・ケイ、エリアス・サンバール、クリスチャン・シニジェ、カトリーヌ・タンヴィエ、マリーヌ・バタジア、ギュリヴェール・エック、エリザベート・ヴィタリ、アイ・アイダラ

☆☆☆☆4
(コ)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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