「12モンキーズ」 テリー・ギリアム

「未来世紀ブラジル」の延長上にあるSF代表作「12モンキーズ」をやっと見ました。クリス・マルケルの短編映画「ラ・ジュテ」(62)を基に作り上げた時空SFの異色作。

2035年の囚人が未来から過去へ。1996年から1997年にかけて細菌で人類の99%が絶滅した。生き残った1%の人類が地下都市で暮らしている。囚人であるブール・ウィルスが、そのウイルスの正体を探るため、そしてその細菌をばら撒いたとされる12モンキーズの秘密を探るため、科学者たちによって過去へと送り出される。

いわゆるタイムトラベルものである。細菌学者のイカレた息子役でブラッド・ピットがいい味を出している。彼はイカレ役が似合う。エイズやO-157や鳥インフルエンザや口蹄疫など、細菌が現代に蔓延する恐怖になっている意味でも面白い。何度も夢に見る空港のシーンの意味や、12モンキーズの正体など、現実と過去が錯綜しつつ物語を引っ張っていくので見応えがある。

ヒッチコックの「めまい」を映画館で観るシーンがある。謎の女であるキム・ノヴァクが木の年輪で時間のことを説明するシーンが使われている。時間を行き来するこの映画の二重性と「めまい」の女の二重性が重なり合う。映画を観た後で、マデリーン・ストーンは夢の女のように「めまい」と同じ金髪に変身するのだ。

そして留守番電話の伝言が時空を超えて届くシーンもうまい。清掃会社の留守電に「動物愛護協会の事務局が12モンキーズの秘密本部・・・ことを決行するのは奴らです・・・私はもう限界・・・さようなら・・・メリー・クリスマス・・・」とメッセージを吹き込んだ精神科医のマデリーン・ストーの安心と、その留守電を未来で聴いたことから、「あの声は君だったのか…」と現実に引き戻されるブース・ウィルスの落胆の二重性。時間が重層的に使われている。

ブース・ウィルスは精神病院で薬漬けにされながら、世界の終わりと細菌の話を自分がブラッド・ピットしていたことに愕然とする。世界の終わりのキッカケを作ったのは自分かも知れないという恐怖。結局は12モンキーズは、動物園の動物を檻から逃がしただけで、真犯人は別にいたのだけれど。脚本はなかなか緻密でよく出来ている。ラストで飛行機に乗った真犯人の隣りに女性の科学者を登場させて、観客を混乱させる。細菌は空港ですでにばら撒かれたのか?女科学者は、何を阻止できたのか…。いろいろ解釈が出来るラストになっているのも楽しい。

ピアソラの音楽が印象的に何度も繰り返し使われている。


原題:TWELVE MONKEYS
製作国 アメリカ 1995年
公開情報 劇場公開(松竹富士)
初公開年月 1996/07/
監督: テリー・ギリアム
脚本: デヴィッド・ピープルズ、ジャネット・ピープルズ
撮影: ロジャー・プラット
音楽: ポール・バックマスター
キャスト: ブルース・ウィリス、マデリーン・ストー、ブラッド・ピット、クリストファー・プラマー、ジョン・セダ

☆☆☆☆4
(ト)

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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

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