「まほろ駅前多田便利軒」大森立嗣

まほろ

三浦しをんの原作は読んでいた。だから、この物語の映像化はイメージしやすかった。たぶんキャスティングさえ失敗しなければ、面白い映画になるだろうと思っていた。「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」は見逃していたが評判のいい映画だった。大森立嗣監督はちゃんと二人の役者に芝居をさせて、じっくりと撮っていた。小手先の映像技術など使わずに、ちゃんとじっくりと画面の中で、瑛太と松田龍平を息づかせていた。

「誰かに必要とされるってことは、誰かの希望になるってことでしょ」

何を考えているんだかよくわからない男・行天春彦(松田龍平)が急にまともなことを言う。この物語はこの行天春彦の破天荒でとりとめのない風来坊の魅力に尽きる。それを松田龍平は彼なりに不思議なキャラクターで演じていた。特に歩き方がなんだかおかしい。手を前後にフラフラさせて、幽霊のようにひょうひょうと階段を上り降りして、キレたストーカー野郎(柄本佑)を追いかけさせる。なんだか奇妙な立ち居振る舞いである。ドカッと地に足をつけるのではない歩き方とでも言おうか・・・。
それに対して瑛太はじっくりと松田龍平の不思議な芝居を受け止めている。家族がいながらも家族からはなれて一人で生きている男と、家族を失いながらその哀しみから抜けられない男。魅力ある二人の役者が便利屋をやるシチュエーションだけで、ほとんど成功しているようなものだ。

親に無視され続ける子供に多田(瑛太)は自分に言い聞かせるように言う。

「おまえの親が、おまえの望む形で愛してくれることはないと思う。だけど自分には与えられなかったものを、新しく誰かに与えることはできるんだ」

人は誰かの希望にもなれるし、不幸のタネにもなれる。疎ましくもあり、愛することも出来る。人は人との関係の中でしか生きられないのだ。

三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」レビュー


製作国:2011年日本映画
配給:アスミック・エース
監督・脚本:大森立嗣
プロデューサー:孫家邦
原作:三浦しをん
音楽:岸田繁
キャスト:瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑、横山幸汰、梅沢昌代、大森南朋、松尾スズキ、麿赤兒、高良健吾、岸部一徳

☆☆☆☆4
(マ)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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