「100,000年後の安全」 ミカエル・マドセン

100000.jpg

フィンランドのオルキルオトに世界で初めて建設されることになった、高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場にカメラを向けたドキュメンタリー

10万年後まで保持されるように地下深くに埋められる予定の核のゴミ。光のない世界で、その深い深い穴をひたすら掘り続ける作業員たちの絶望的で不毛なる作業。まるで神話のようだ。この施設を作ることにした関係者へのインタビューで映画は構成されている。やや単調な作りながら、このSF映画のような絶望的な未来プロジェクトの光景に唖然とする。

10万年後という想像を絶する未来まで、この核の廃棄物が地下に眠ったままでいられるのか?我々は、未来の人とたちになんという忌まわしきモノを残してしまうのか。地上は何が起きるかわからない。海底に放射能が漏れ出したら、生命の源である海を汚すことになる。どうやっても危険な放射能を取り除くことはできない。とりあえず、水の中で冷やしながら人間が温度管理して、核廃棄物を閉じ込めている暫定的な処置しかできない今の原子力技術。

つねに未来に問題を先送りしつつ、ここまで進めてきた原子力発電。先祖はかつて火を発明し、人間だけしかできないその火の技術で大いなる発展を遂げた。そして、その自然の火よりも、とてつもない巨大なエネルギーを生み出す原子力という新たな「火」を発見し、その危険性もわからずに灯してしまった責任を誰が取れると言うのか。誰も生きていない遠い未来へ、我々は危険なものを埋葬する。立ち入り地域禁止区域。掘り返してはならない危険極まりないモノを地中深くに封印する。10万年後まで封印しないと、その危険は去らないと言う。

つくづく愚かなことをしているとしか思えない。こういうやり方でしか、処理が出来ない原子力発電を今でも推進しようとしている理由がまるでわからない。そのためにひたすら掘り続ける作業。未来への負の遺産。その不気味な光景を描き出しているという意味で、貴重なドキュメンタリーだ。


英題: INTO ETERNITY
製作年: 2009年
製作国: デンマーク/フィンランド/スウェーデン/イタリア
日本公開: 2011年4月2日
監督: ミカエル・マドセン

☆☆☆3
(シ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : ドキュメンタリー

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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