「戦火のナージャ」ニキータ・ミハルコフ

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ニキータ・ミハルコフの「太陽に灼かれて」は傑作だった。人生の美しき甘美な光と時代によって暗転する闇、それが見事なまでの映画的豊かさで描かれていた。
太陽に灼かれて

本作はその後日談。ニキータ・ミハルコフ監督の愛娘ナージャ・ミハルコフは、前作での天使のような可愛らしい少女から、大人の勇敢な看護師に成長している。そしてこの作品のラストの戦場での彼女の裸身はやはり天使のような輝きだ。

前作がスターリンの粛清に伴って英雄から犯罪者へ、時代に翻弄されるコトフ大佐(ニキータ・ミハルコフ)とそれを追い詰めるドミートリ大佐(オレグ・メシーコフ)の対立を軸に物語が展開しているが、今回もまたドミートリ大佐が、収容所で処刑されたはずのコトフがまだ生きているとスターリンから知らされ、捜索をしろと言われる場面から始まる。しかし、今回はその二人の対立の軸は物語のキッカケでしかない。あくまでも戦争という不条理な時代を生き抜くコトフと娘ナージャの物語だ。

冒頭のコトフの夢の場面、いかにもニキータ・ミハルコフらしい美しきロシアの情景が描かれる。美しき自然、そしてパンに塗るジャムの甘い美味しさを語るスターリン、さらにお祝いのケーキと美しき女性、そして音楽の甘美な調べ。そんな夢の情景から、いきなり戦争の暗い現実に引き戻される。

ナージャが遭遇するジプシーの村人たちが焼き殺される場面が印象的だ。ジプシーたちの音楽。ナージャはドイツの兵士から逃れ、助けてもらうために、ある女性がドイツ兵を殺してしまった。そのことが原因で、村人全員が焼き殺されてしまう場面をただただ物陰に隠れて、見ることしかできない悲痛な苦悩。まさに地獄の責め苦だ。

赤十字の船に悪ふざけしながら演習するドイツ戦闘機の兵士。そして船から一発の銃弾が浴びせられたばかりに、赤十字に乗っている負傷者全員を皆殺しにする場面もまさに戦争の蛮行だ。

一方でピアノが何度か使われる。ニキータ・ミハルコフにとってピアノの調べは、人生の豊かさの象徴なのかもしれない。それが戦争という理不尽な状況で、音楽を楽しむことさえできなくなる。

そんな戦争の不条理な暴力が次から次へと描かれる。見応えある戦争映画であるのは間違いない。ラストのナージャも美しい。でも、これで完結じゃないの?という終わり方は拍子抜け。3部作で完結するつもりなのか・・・。
「太陽に灼かれて」が美しき傑作だっただけに、とてもいい映画だけれど、物足りない。



英題: UTOMLYONNYE SOLNTSEM 2
製作年: 2010年
製作国: ロシア
日本公開: 2011年4月16日
上映時間: 2時間30分

監督・共同脚本・製作: ニキータ・ミハルコフ
脚本: アレクサンドル・ノヴォトツキー / ウラジーミル=モイセエンコ / グレフ・パンフィーロフ
撮影: ウラディスラフ・オペリヤンツ
音楽: エドゥアルド・アルテミエフ
キャスト:ニキータ・ミハルコフ、ナージャ・ミハルコフ、オレグ・メンシコフ、セルゲイ・マコヴェツキー、エヴゲーニイ・ミローノフ、ドミートリ・ジュゼフ

☆☆☆☆4
(セ)
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ジャンル : 映画

tag : 戦争

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