「Ricky リッキー」フランソワ・オゾン

リッキー

フランソワ・オゾンのたくらみに観客は唖然とする・・・そんな映画だ。妙にリアルに赤ちゃんが天使になっていく。赤い痣から少しづつ手羽先のような翼が生えていく様子が克明に描かれる。天使が彼女らに何をもたらしたのか?誰もが納得する心温まるファンタジーではない。

シングルマザーであるカティは、工場労働者でありリアルな生活を抱えているし、出会った途端にセックスをしてしまう程度の平凡な女である。娘のリザのことを愛しているし、翼の生えた息子リッキーのことを驚きも騒ぎもせずに現実的に受け容れていく。リッキーの父親であるパコも、どこにでもいる平凡な男だ。子育てでケンカをし、リッキーを殴ったとあらぬ疑いをかけられて家を出て行く。かと思うと、テレビで話題になったリッキーを見て、戻ってきて、マスコミに話題を提供してお金を得ようとする世俗的な男だ。

そんなリアルな家族の生活に、突拍子もない「天使」が突然現われ、少しづつ関係が変わっていく様をあくまでも普通のこととして描いている。「奇跡だ」と大騒ぎするでもなく、ちょとしたドタバタが起こる程度だ。集まったマスコミも、リッキーの姿が見えなくなると、大騒ぎするでもなく自然と去っていく。リアルなようでリアルではないのだ。意識的に描写が抑えられているのだ。

だから、ラストもまた、静かな日常が戻るだけだ。「天使」の存在はなんだったのかを何一つ解き明かさないまま、映画は終わる。リッキーは空の彼方に消えたままに。そしてまた新たな命が宿り、新たな生活が始まることを暗示するだけだ。そして、リッキーとはなんだったのかを観客のそれぞれが考えながら、映画館を後にするのだ。

原題: Ricky
製作国: 2009年フランス・イタリア合作映画
監督: フランソワ・オゾン
製作: クローディ・オサール、クリス・ボルツリ
原作: ローズ・トレメイン
脚本: フランソワ・オゾン、エマニュエル・ベルンエイム
撮影: ジャンヌ・ラポワリー
キャスト: アレンクサンドラ・ラミー、セルジ・ロペス、アンドレ・ウィルム、ジャン=クロード・ボル=レダ、メリュジーヌ・マヤンス、アルチュール・ペイレ

☆☆☆☆4
(リ)
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ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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