「あらかじめ失われた恋人たちよ」清水邦夫 、 田原総一朗

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桃井かおりのデビュー作である。監督があのジャーナリストの田原総一朗と劇作家の清水邦夫。1971年という時代のニオイがプンプンする映画であるが、残念ながら面白くない。昔に観た時は、もっと深みがある映画かと思ったような気がするが、今、あらためて見ると映画としてうまくいっていない。

唖のカップルである加納典明、桃井かおりの無言で裸の身体性と、おどけ、ふざけ、アジテートし、しゃべりまくる石橋蓮司の対比。一人の女をめぐる男二人の物語でもあるが、1970年代の政治の季節を通過した背景を石橋蓮司が体現し、どこか滑稽だ。村人達の閉鎖的暴力や無関心や排他性、そして警察などの国家暴力と対峙する3人。狩猟とセックスの原始生活をしているような唖のカップルのむき出しの欲望と肉体に振り回される石橋蓮司。最後は言葉を捨て、偽唖になる。すべてを受け容れ、浄化する母なる海が印象的に描かれる。

ドキュメンタリーからフィクションへと向かおうとした田原聡一朗が、この作品を失敗作だったと語っている。裸で体当たりしてきた桃井かおりに申し訳なかったと。役者の演技そのものを解体させ、ドキュメントしようと思った田原は、演じることとは何かがわからなかったと原一男のインタビューの中で語っていた。

原一男×田原総一朗

アップを入れることの映画的嘘を拒否しようとして、引きの画面でドキュメンタリーとして役者を撮り続けたが、物語も映像も、フィクションとドキュメンタリーの間で中途半端な作品にしかなりえなかった。

石橋蓮司がとにかく若く、はしゃぎまわっている。


製作年 1971年
製作国 日本
配給 日本ATG
監督 清水邦夫 、 田原総一朗
企画 葛井欣士郎
脚本 清水邦夫 、 田原総一朗
撮影 奥村祐治
音楽 成毛滋
スチール 加納典明
出演:石橋蓮司、加納典明、桃井かおり、緑魔子、カルメン・マキ、蟹江敬三、蜷川幸雄

☆☆☆3
(ア)

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