『私たちはこうして「原発大国」を選んだ』武田徹

「原発報道とメディア」という本を先に読んだのだが、それ以前の3.11よりも随分と前に原発問題の日本の歩みについて書かれた武田徹氏の著作。2002年『「核」論ー鉄腕アトムと原発事故のあいだ』の増補版。日本が原発大国になるまでの歴史的経緯をつぶさに調べ、記している。

占領下で日本国憲法の草案の話し合いがもたれていた時に、ホイットニー准将の発言「原子力的な日光の中でひなたぼっこをしていましたよ」というセリフに著者が触発されたことから、この原子力と日本の歴史についての本の構想が浮かんだと言う。「原子力的日光」とは、何か。日本はずっとその「原子力的日光」の光のなかにいるのではないかという思い。

日本国憲法の草案が示されたまさにその背景に、原子力爆弾の力が暗に誇示されていたのだ。思えば戦後、原子力の核の力の抑止力によって、平和は維持されてきた。日ソ両大国の核の脅威の冷戦構造。この本は、年代ごとに日本が辿ってきた原子力と日本とのかかわりの歴史を紐解いていく。

「1954年論ー水爆映画「ゴジラ」と中曽根康弘の原子力の黎明期」。アメリカの戦略に中曽根康弘が乗っかって、原子力の平和利用を推し進めた黎明期。
「1957年論ーウラン爺の伝説」。原子力発電の開発で注目された日本のウラン鉱山。ウラン饅頭やウラン土産がもてはやされた時代の異常性の科学の信頼性とは。
「1965年論ー鉄腕アトムとオッペンハイマー」。原子爆弾を開発したユダヤ人科学者オッペンハイマーの苦悩と「科学の子」鉄腕アトムの原子力との共生の希望。
「1970年論ー大阪万博」。原子力の灯が「輝く未来」として受け入れられた時代。その社会の熱狂。
「1974年論ー電源三法交付金」。原子力発電誘致に懸命だった過疎の村。原子力損害賠償法の成立で、過疎の町でしか原発が建設されなくなった理由。
「1980年論ー清水幾太郎の「転向」」。安保闘争に関わっていた思想家、清水幾太郎が「転向」して日本の核武装論展開した理由。核を持つことで、「日本よ国家たれ」と核の選択を主張した。以降、多くのタカ派の人たちが彼の思想を追随している。
「1986年論ー高木仁三郎 科学の論理と運動の論理」。反原発運動の中心的存在である高木仁三郎氏の科学が、運動のための科学になっていることの限界を指摘。
「1999年論ーJOC臨界事故」。社会的弱者が、何の原子力に関する知識をもないままに、仕事をさせられ事故にあった杜撰な構図。
「2002年論ーノイマンから遠く離れて」。核の倫理と賛成反対の議論を超えて何が必要なのか。

日本がこれまで歩んできた原子力との関わりは、日本の戦後史そのものでもある。「原子力的日光」の中で、ずっとその光に照らされながら経済発展をしてきた日本。そして、今回の3.11の原発事故。あらためて「原子力的日光」の力とは何なのか、単なる賛成派、反対派の決して交わることにない議論を超えて考え続けることの意味とは・・・。歴史を紐解くことで見えてくるものがあるように思った。

(わ)
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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    9,「エリックを探して」
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